『佐渡島(さど)の金山』。世界文化遺産への来年の登録が難しくなりました。
ユネスコから推薦書の不備を指摘され、政府が推薦書の再提出を決めたためです。いったい何があったのでしょうか?

世界文化遺産登録を目指し2月にユネスコへ推薦書を提出していた『佐渡島の金山』。順調にいけば来年中の登録が期待されていましたが、暗雲が立ち込めています。
【文科省 末松信介大臣】「誠に遺憾だが、ユネスコにおける審査ができる限り早期かつ確実に進んで登録が実現するためには『佐渡島の金山』の推薦書を改めて提出するほかない」
ユネスコ事務局が、日本の提出した推薦書に不備があると指摘し、登録にふさわしいかどうかを判断する諮問機関に推薦書を送っていなかったのです。政府はユネスコに対して再考を求めてきましたが、「判断は変わらないことを確認した」として、推薦書を再提出することを28日に表明しました。

不備があるとされたのは「西三川砂金山」の導水路跡に関する部分で、「導水路跡の一部途切れている箇所について記載が欠落している」との指摘を受けたということです。
【文化庁文化資源活用課 篠田智志課長】「我々としては、地理的に途切れている箇所も含めて導水路として一体のものとして説明しており、記載は十分であるということを考えて議論を行ってきたというところだが…」

政府は来年2月1日までに推薦書を再提出する方針ですが、末松文科大臣は、来年中の登録は「難しい状況」だと述べていて、登録は早くても2024年となりそうです。
【新潟県 花角英世知事】「どうしてこういうことになっちゃったのか、詳しい事実関係は聞いていないですけど、来年の登録実現を目指して取り組んできただけに極めて残念です」
世界文化遺産登録を待ちわびていた、地元・佐渡市。
【佐渡市 渡辺竜五市長】「大きな価値自体には全く関係ないと思っているので、きちっともう一度精査をして、国が推薦書を改めて出すと言ってくれている以上は、しっかりと協力をしながら出していきたいし、一緒にもう一回頑張ってやりたい」
【佐渡を世界遺産にする会 中野洸会長】「今までも二十数回ユネスコに推薦書は出している。それでなぜ今年だけがそういった不備があったかというのは大きな疑問」
佐渡市民の間にも落胆が広がっています。
【佐渡市民】
「残念としか言いようがないですね。(期待していました?)そりゃそうだよ。佐渡出身としてはそれが一番だもん」
「残念ですが、また来年以降必ず登録されるようにお願いしたいと思います」
佐渡市は引き続き政府と情報を共有しながら、登録に向けた取り組みを進めていくとしています。