■大相撲春場所・13日目(22日、エディオンアリーナ大阪)

新入幕の前頭17枚目・尊富士(24・伊勢ヶ濱)が関脇・若元春(30)を下して12勝目を手にし、1敗を守った。2敗力士がいないため星の差「2」で優勝争い単独トップに立つ尊富士は、110年ぶりの新入幕Vへついに「あと1勝」と王手をかけた。

連日上位陣との対戦が組まれ、この日も初顔合わせの一番。立ち合い、尊富士が鋭い出足で強く踏み込むと左を差して前へ。一度すくい投げで若元春の体勢を崩すと、巻き替えて一気に土俵の外へ力強く寄り切った。

尊富士を追う“3敗勢”の4人は、大関・豊昇龍(24・立浪)、前頭5枚目・大の里(23・二所ノ関)の2人が3敗を死守し、逆転優勝へ踏みとどまった。大関・琴ノ若(26・佐渡ヶ嶽)は貴景勝に、前頭5枚目・豪ノ山(25・武隈)は豊昇龍との直接対決に敗れ4敗に後退した。

前日、豊昇龍に逆転の小手投げで敗れ、初日からの連勝が「11」でストップした尊富士。大横綱・大鵬の連勝記録を塗り替えられなかったが、この日も堂々とした取り口を披露し見事関脇の若元春を撃破した。

今場所、尊富士は初土俵(22年秋場所)から史上最速タイ(幕下付け出し除く)の所要9場所で“幕内デビュー”。このまま初優勝となれば、1914年(大正3年)5月場所の両国以来、110年ぶりとなる新入幕場所での優勝、さらには貴花田(貴乃花)と朝青龍の所要24場所を大きく更新する“史上最速V”を達成し、記録づくめの歴史的快挙となる。