今年の春闘で大企業から大幅な賃上げ表明が相次いだことを受け、市場では、日本銀行が来週、マイナス金利の解除など大規模な金融緩和策を修正するとの見方が強まっています。日本の金融政策が転換することになれば、株式市場にも大きな影響を及ぼすことになります。
先週、史上初めて4万円を突破した日経平均株価ですが、きょうは3万8807円で取引を終えました。このところの株高に冷や水を浴びせる形となったのは、日銀が続けてきた大規模な緩和を早期に修正するのではとの観測です。
企業の「稼ぐ力」が評価され、34年ぶりの記録更新を果たした株式市場。その原動力となったのは日米金利差の拡大による円安・ドル高です。
円安は輸出関連の企業に大きな恩恵をもたらし、企業業績を押し上げてきましたが、日銀がマイナス金利の解除を決めた場合、円相場は一気に円高に振れる可能性があります。
実際、先週も日銀の審議委員の発言を受けて市場が反応し、円相場が一時、146円台まで円高が進み、さらに、今週に入って株価が一時1200円近く下落する場面もありました。
その場合、企業にとっては大きな打撃となり、短期的には株価は大きく下落する可能性があるほか、株高を支えている海外投資家にとっては円安による割安感が減ることになります。
一方で、企業の間で賃上げの原資となる価格転嫁が徐々に進んでいることなどから、今後、「円安」という武器がなくなったとしても十分な利益を確保できるという見方もあります。
また、日銀はマイナス金利を解除した後も緩和的な金融環境が続くと説明していることから、長期的には今後も株価の上昇相場は続くとの安心感もあります。
このほかに、来週の日銀の決定会合ではマイナス金利の解除に加え、ETF=上場投資信託の買い入れ廃止についても議論するとみられます。
これまで10年以上にわたり、株価の下落局面でETFの買い入れを行い、実質的に相場を下支えしてきましたが、日銀からの“独り立ち”は株式市場の健全化への第一歩だとして、株価にとっては追い風となる可能性もあります。
あすは春闘の第1次集計が発表される予定で、去年の平均賃上げ率3.8%を上回るかどうかが焦点となっていて、その結果を受けた来週の日銀の判断に注目が集まっています。
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