シリーズ「現場から、」です。能登半島地震の被災地・石川県輪島市。高齢化が著しいこの地域で、復興を信じ、住民を元気づける女性と出会いました。
能登半島の西部に位置し、元日の地震で震度7を観測した石川県輪島市の門前町。シンボルの総持寺祖院は、境内のお堂や回廊が倒壊。商店街の素朴な街並みも一変しました。
この町で、復興を信じて立ち上がった一人の女性がいます。宮下杏里さん(32)。中学校を卒業後に地元を離れ、高校時代から15年間を金沢市で過ごしましたが、高齢化が進む門前町に活気を取り戻したいと、4年前に地元へ戻りました。
総持寺通りの商店街など地元の魅力を発信しようと活動を続け、YouTubeでの配信や特産品を集めたマルシェの開催など、町おこしに取り組んできました。
震災後は避難所での炊き出し支援などで住民を支えてきましたが、インフルエンザに感染し、金沢へ2次避難することに。
宮下杏里さん
「(金沢は)水が出る。電気がある。この生活、天国やみたいな。結局、考えることは門前のことだった。金沢にいても門前のことを考えているから、門前に戻るしかないと」
金沢で生活していくことも一時は頭によぎったという宮下さんでしたが、被災した奥能登の人たちを忘れることはできませんでした。
宮下杏里さん
「今までみたいに強く頑張ろうとは言えない」
これまで、自称「おせっかいな観光案内人」として、町おこしに取り組んできた宮下さん。しかし、震災後は商店街の人たちに、気安く「頑張れ」とは言えませんでした。
宮下杏里さん
「すぐ進んだほうがいいとか、行こうとならなくてもいいと思う、今は。仲間がいる安心感だけでいいと思う」
ところが今、宮下さんの明るさに押され、前を向き始める住民が少しずつ増えています。
宮下杏里さん
「どんどん前に押していくから。前に前に」
門前薬局 五十嵐義憲さん
「やかましいんで」
門前薬局 五十嵐義憲さん
「できるなら何でもやればいいと思う。ちょっとでもにぎやかに、明るく」
宮下杏里さん
「だから、居てくださいね」
門前薬局 五十嵐義憲さん
「すぐはおらんくならん」
宮下杏里さん
「うるさいお姉さんはいつまでもうるさいですからね」
今も、元日の爪痕が色濃く残る被災地ですが、住民たちは、復興を信じ続ける一人の女性に背中を押され、再び一歩を歩み出そうとしています。
宮下杏里さん
「門前が好きでみんな残っているから。離れた人もやっぱり門前のことが好きだし、その人たちが戻れる町にしたいと思う」
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