日本製鉄呉地区跡地への「多機能な複合防衛拠点」の整備について、防衛省の幹部が呉市議会に説明しました。弾薬庫の整備も検討対象にしていることを明らかにしています。
防衛省 地方協力局総務課 村井勝 課長
「部隊の活動基盤については一般的な自衛隊の基地と同様、火薬類取締法上の火薬庫(弾薬庫)の整備も検討対象として含んでいる」

呉市議会の委員会に出席した防衛省の幹部は、日鉄呉地区跡地について「多機能な複合防衛拠点」を新たに整備したいとあらためて表明しました。その上で、▽民間の誘致を含む装備品の維持整備・製造、▽訓練場を含む部隊の活動基盤、▽岸壁を活用した港湾、といった3つの機能の整備を考えていると説明しました。
また、日鉄と跡地の一括購入に向けた交渉をしていることや、弾薬庫の整備も検討対象として含んでいることを明らかにしました。
防衛省 地方協力局総務課 村井勝 課長
「まずはこの3つの機能に関わるゾーニングを防衛省で作成し、できるだけ早い段階で皆様に説明したいと考えている」

議員からは弾薬庫の安全性について、市民の間で危惧する声があるといった質問が出されました。これに対し防衛省側は、1954年に自衛隊が発足して以来、自衛隊の保有している弾薬庫で事故を起こしたことはないと説明しました。
防衛省 地方協力局総務課 村井勝 課長
「火薬庫そのものは現在の呉の地方総監部にもあるし、他自衛隊の駐屯地にも普通に存在しているが、あえて申し上げると、火薬庫メインの施設を作ってしまうと保安距離の関係があるので、多機能の防衛複合拠点にならない」
また、跡地の一括購入の時期について質問も出されましたが、防衛省側は日鉄側と交渉中だとして、具体的な時期は示しませんでした。委員会には、呉市の新原市長も出席しました。
呉市 新原芳明 市長
「このことは呉市にとって非常に大きな問題なので、予断を持って対応するのではなくて、よく話を聞いて、言うべきことは言って、聞くべきことは聞いて、真摯に進めていきたいと思う」

呉市は、今後も防衛省から丁寧に話を聞いて、県とも相談していきたいとしています。