北欧随一の「軍事強国」がNATOに加盟すると・・・

このスウェーデンですが、実は北欧随一の「軍事強国」とも呼ばれています。100機前後保有している戦闘機は、精密誘導爆弾や、このように敵のレーダーに”おとり”を作り出す電子戦装置を搭載しています。

そして、NATOの戦力を高めると言われているのが潜水艦隊です。バルト海は平均水深が55メートル程と浅く、そもそも操縦が難しいとされています。さらに場所によっては海中の塩分濃度が異なり、潜水艦の浮力に影響するため、その技術が問われるのですが、1900年代から潜水艦を運用しているそのノウハウは他国の追随を許しません。

現在、バルト海ではロシアが毎年軍事演習を行っていますが、スウェーデン加盟により、実質的に「NATOの海」となりそうです。さらに、ロシアは飛び地のカリーニングラード州に海軍基地を持っていますが、その真正面にあるのは、スウェーデンのゴットランド島。わずか300キロの距離にあり、ロシアの動きを監視することが出来るのです。スウェーデンのNATO加盟はロシアにとって大きな脅威となりそうです。
今後の懸念はトランプ氏の“再選”

一方で、懸念されているのはアメリカ大統領選でのトランプ氏の再選です。2月、トランプ氏は、適切な国防費を負担しないNATO加盟国について、「防衛しない。むしろ好きに振る舞うようロシアにけしかける」などとロシアに攻撃を促すかのような発言をしていて、再選されればアメリカのNATO離脱を持ち出すとの見方も浮上しています。アメリカは、NATOの軍事費の7割近くを負担していて、仮に離脱すればNATOは極めて深刻な事態に陥ることになります。
(「サンデーモーニング」2024年3月3日放送より)