国会では、きょうも派閥の裏金事件を受けた衆議院・政治倫理審査会が開かれています。安倍派の西村前経済産業大臣はおととし、派閥としてキックバックをやめる方針を一度、決定していたと明らかにしました。

完全公開で行われる衆議院の政治倫理審査会。2日目のきょう、審査を受けたのは安倍派の事務総長経験者たちです。

自民党・安倍派 西村康稔 前経産大臣
「パーティー券ノルマなどについても、どういうふうに決まっていたのかについて、承知しておりません。どういうふうに会計処理がなされていたのか、これについても承知しておりません。その後の経緯については全く承知してないと、これは全て正直に申し上げてることであります」

松野前官房長官は2021年の段階で、安倍派から還付されていた現金を秘書が議員会館の事務所で保管していたことを明らかにしました。

立憲民主党 枝野幸男 衆院議員
「この845万円は、どこにどういう形で存在していたんですか」

自民党・安倍派 松野博一 前官房長官
「事務所において、秘書によって管理されていたということでございます」

立憲民主党 枝野幸男 衆院議員
「現金ということでいいんですね」

自民党・安倍派 松野博一 前官房長官
「現金でございます」

立憲民主党 枝野幸男 衆院議員
「現金で議員会館に800万円もあったんですか。すごいですね」

松野氏は、この還付金について「報道が出てから知った」「他の政治資金とは別に管理をしていたと報告を受けている」などとしています。

きょうの審議の中で焦点のひとつとなったのは、安倍元総理のもと、一度はやめる方針だったキックバックが復活された経緯です。

立憲民主党 枝野幸男 衆院議員
「安倍元総理から現金での還付をやめようという話があった。一度、還付を止めることを決めたとおっしゃいました。これ間違いないですか」

自民党・安倍派 西村康稔 前経産大臣
「(安倍)会長のもとで還付をやめる方針を決めて、幹部で手分けをして所属の議員に電話をした」

西村氏は、おととし4月に安倍元総理と幹部が協議し、政治資金パーティーの収入の一部のキックバックをやめる方針が一度は決まったと明らかにしました。

西村氏によりますと、その場には安倍元総理のほか、塩谷元文部科学大臣、下村元文部科学大臣らがいたとしています。

しかし、7月に安倍元総理が亡くなったあと、ノルマよりも多く売った議員からは返して欲しいという声があがり始めます。

そこで、あらためて塩谷氏ら幹部で対応を協議しましたが、結論が出ず、西村氏はその後、閣僚に就任したことで事務総長をやめたため、どういった経緯でキックバックを継続する方針に戻ったのか、承知していないとしています。

さきほど再開された政倫審には、こうした経緯を知る塩谷氏が出席しました。

自民党・安倍派 塩谷立 座長
「会長の亡き後の非常に混沌として、派内をどう運営していくかということに傾注していた。このような中、還付を希望する声が多いとのことで、その要望に沿って、令和4年分も従来どおり還付が継続されたと理解しております」

この後、政倫審には西村氏の後を継いで事務総長になった高木氏が出席する予定です。