急速に進む円安と物価高の中、日本銀行が手を打つか注目された金融政策決定会合が開かれました。そんな中、大きな買い物の現場では先の見通せない心配事に消費者が悩まされています。
■“夢のマイホーム購入”も…来場者語る気がかり

2022年7月、週末の住宅展示場。夢のマイホームを手に入れようと明るい未来を思い描いているはずの来場者たちの心にはどうしても引っかかるものが。
来場者
「気がかりは金利。今は安いが、今後どんどん上がっていく不安がある」
「これからの変動金利の上昇。その辺がちょっと不安ですかね」
日銀が低く抑え込んできた金利が、この先、跳ね上がってしまうのではないか、近い将来の負担増加の可能性に心配が広がっています。
金利が変わらない固定金利か、半年毎に見直される変動金利か。来場者たちの気持ちは揺れています。
来場者
「どっちが良いんだろう…インスタとかで見ると変動の方がトータル良いのではないかと、それぐらいはざっくり見たが安全をとるなら固定なのかな。知識不足で…」
来場者
「変動だと都度都度上がったら結構な額になるので」
「お友達にも意見を聞いているが、変動よりも固定の方が圧倒的に多くて」
2022年に住宅ローンを契約した人のうち「35年固定型」を選んだ割合は1年前に比べ2倍以上に増えたといいます。(1月~6月 りそな銀行)
日銀が近く、政策変更を迫られるのではないか。先読みする動きが始まっています。
■大規模な金融緩和…日銀は何を間違ったのか?
9年前、黒田総裁はデフレ克服のため大規模な金融緩和に踏み出しました。
日本銀行 黒田東彦総裁(2013年4月)
「これまでとはまったく次元の違う金融緩和を行う」
当時の安倍総理が打ち出した「アベノミクス 3本の矢」の1本目。金利を大幅に引き下げることでお金の回りを良くし、景気を引き上げようとしました。
“物価の番人”である日銀の伝統的な政策からは“邪道”と呼ばれる奇策でしたが、この大規模な金融緩和は株価を2倍以上に引き上げましたが…
一方で、政府の「成長戦略」は不発に終わり賃金は上がらず、今や物価だけが上がる事態に。
物価高に拍車をかけているのが円安です。
アメリカ・FRBはインフレを止めるため金利を引き上げ。金利を上げない日本との金利差が拡大したことで円安は加速。1ドル=140円に迫る24年ぶりの円安水準となっているのです。
黒田・日銀は何を間違ったのでしょうか。

黒田総裁就任当時、日銀の審議委員を務めていた木内登英氏。大規模な金融緩和に異を唱えていました。
元日銀審議委員 木内登英氏
「10年近く続いた異例の金融緩和の副作用が、円安や金融市場の不安定化という形で今、現れてきている」
2022年に入って円安は24円進み、中小企業を一段と苦しめています。