漁獲量が激減してしまった浜名湖のアサリを復活させようと、浜名湖の水中に吊り下げて養殖するアサリの試験出荷が始まりました。地元の飲食店も“名物復活”に向け期待を寄せています。
浜名湖で行われているアサリの養殖。浜名湖で採れた質の良い稚貝が入ったかごを水中に垂らして下げる養殖方法のため、「垂下アサリ」と呼ばれています。
「垂下アサリ」が養殖されているかごは、水面下、1〜1.5mほどで、えさになる植物プランクトンがたくさんいる場所に高さを調整して吊り下げられます。
養殖を始めたのは、静岡県の水産・海洋技術研究所と地元の漁師でつくる「浜名湖垂下あさり研究会」。3年ほど前から育ててきた養殖アサリが出荷できるまでに成長したため今回、初めて試験的に出荷することになりました。
<静岡県水産・海洋技術研究所浜名湖分場 隈部千鶴さん>
「今回初めて養殖をトライしましたけれども、いい成果が出てるんじゃないかなと思います」
水揚げされたアサリは漁師が一粒一粒チェックします。垂下アサリの大きさは、35ミリ以上で大粒ばかり。身が厚く、貝にぎっしりと詰まっています。
浜名湖産の養殖アサリを使って地元を盛り上げようという動きがでています。
浜松市中央区の飲食店「浜松料理 じねん浜松城店」には、2月15日に初めて試験出荷された「垂下アサリ」が届きました。まず、「酒蒸し」を試作。地元の日本酒と薄口しょうゆのみのシンプルな味付けですが…。
「すごいねやっぱり」
「弾力もありますし、味も濃いです。あさりの味も濃い」
<浜松料理じねん浜松城店 藤田正吾料理長>
「料理人として創造意欲を掻き立てられるような感じです」
この店では、浜名湖でアサリが不漁続きとなった8年ほど前から、資源保護の観点などからアサリ料理の提供を自粛。しかし、浜名湖のアサリのおいしさを届けようとグループ店舗でアサリを使ったメニューを期間限定で復活させました。
<じねんグループ 秋元健一社長>
「本当においしかった。感動して、大きさと肉厚にすごい感動したのを思い出しました。浜名湖の良さがギューっと凝縮されたような味わい」
浜名湖ではかつて、春から夏にかけて潮干狩りが盛んで、最盛期の1980年代には、約30万人が訪れました。しかし、アサリの漁獲量が年々激減し、2013年からほぼ毎年、観光向けの潮干狩りが中止となっています。今回の試験出荷は総量50キロ限定で注文のあった飲食店などに届けられます。
<静岡県水産・海洋技術研究所浜名湖分場 隈部千鶴さん>
「まだ生産量が少ないですので生産量を増やしていって安定供給を図れるようにしていくというのが一つの課題になります」
不漁が続く中、アサリの養殖は救世主となるのでしょうか。模索が続きます。
スーパーで売っているアサリは、1キロ1,000円から1,500円くらい。「垂下アサリ」の値段は、その倍以上ということで、まだ庶民の味とは言えなさそうです。じねんグループでは、販売を開始しましたが、出荷量が本当に限られているので、売り切れ御免ということです。
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