5年前、北海道で当時の安倍総理が選挙の応援演説をしていたさいに、ヤジを飛ばした市民が排除された問題。この問題を4年にわたり追いかけた映画「ヤジと民主主義」の上映が沖縄でも始まりました。
映画を制作した監督に作品への思いを聞きました。
「法律とかじゃなくて」ヤジを飛ばすと強制的に連れ去る警察

2019年、北海道札幌市。安倍総理が選挙の応援演説に立った時のことです。
「安倍やめろ、帰れ」
ヤジを飛ばした人は、周囲の警察官により強制的に連れ去られます。
「増税反対!」
ヤジをあげた大学生も警察官にその場から排除され、その後も付きまとわれました。

ヤジを飛ばした桃井さん「大声出すのに許可いるの?」
警察官「いらないよ。法律に引っかかっているとかじゃなくて」
政治家に直接声を届けようとした市民が排除された、いわゆるヤジ排除問題。
「表現の自由」の在り方を揺るがしたこの問題をテーマにした映画「ヤジと民主主義」の上映が沖縄でも始まっています。
観客
「辺野古だってそうだし、そのあとの事もそうだし、とにかく国はやりたい放題」「腹が立ちましただめですよね」

映画ではヤジを飛ばした人たちの思いや、その後を取材するとともに「迷惑」という名のもとに、ヤジ排除が正当化されていく社会全体の空気も描いています。
映画の監督を務めた北海道放送の山崎裕侍さん。制作のきっかけの一つに政府と地方の関係への疑問があったと言います。

山崎裕侍監督
「北海道と沖縄ってこ日本の端っこだからやっぱりいろんな中央のひずみっていうのが、でやすい。地方にどんどん国の都合の悪いものを押し付けられてきてるっていうことを北と南で感じる。何かそういう問いかけをしていきたいなというふうにはずっと思ってた」
山崎さんは「ヤジは迷惑だ」と考える人にこそ映画を見てほしいといいます。
山崎裕侍監督
「誰かの権利が奪われることを放置しておくと、いつの間にか他の人の権利も、もしかしたら自分が持ってる権利も奪われてしまうかもしれない」
「ヤジ排除という札幌で起きたことだが、その小さなヤジを守ることで他人の権利を守ることにつながる、あるいは考えるきっかけになるという風に思う」
ギャラクシー賞など、数々の賞を受賞してきた映画「ヤジと民主主義」那覇市の桜坂劇場で公開されています。