見てしまった人はどうすればいい?

午後2時。まずは神社で祝詞をあげます。そして、ご神体を担いだ氏子総代と宮司は、約600メートル離れた神戸大宮神明社(かんべおおみやしんめいしゃ)へ。

このご神体を運ぶ行列を、直接見てはいけないと言われています。

言い伝えの通り、行列を見に来る人の姿はありません。でも万が一、この光景を直接見てしまった場合はどうなるのでしょうか。実は、祭りにはこんな「救済ルール」が用意されていました。

(大森愛子宮司)
「3日目に“謝罪祭”というおわびのご祈祷があるので、(見た人には)その時に来ていただく」

最終日の「謝罪祭」で祈祷を受けることで、無病息災が約束されるというのです。取材班も直にご神体を見たため、祈祷を受けました。

(祈祷を受けた人)
「家のガラスに映ったのを偶然見てしまってさっと目を背けたけれど、あれはそうだと思って」
「初めて見てしまって、子どもがその後、熱を出したので来ました」

謝罪祭で大森宮司は、祈祷を受ける人たちに対して「(寝祭りを)見てどうしようと困ったり、恐れないで、災いを呼びこまないようにしてください」と声を掛けました。

時代とともに変わる祭り

まずは「絶対に見てはいけない」祭りを知ってもらいたい。神社は今、思い切った改革に乗り出そうとしています。

(大森愛子宮司)
「参加型の寝祭りにしてみたらどうかなと。忘れ去られない形、若い人たちが伝承しやすい形に変えていくのも必要なことでは」

来年以降は謝罪祭で祈祷を受けられる人は、行列を見ても良いという形にできないか検討しているといいます。

「絶対に見てはいけない祭り」。

その方法を変えながら、祭りの伝統と地域住民の優しさは受け継がれていくことになりそうです。