まさかの2期連続のマイナス成長でした。GDPの2期連続マイナスは、機械的にはリセッション(=不況入り)と受け止められるものです。日本経済にとって、いわゆる「好循環」実現のハードルがいかに高いかを示しています。

10-12月期実質GDPは年率で0.4%減
内閣府が発表した23年10-12月期のGDP(=国内総生産)は、物価上昇分を除いた実質で前期比0.1%のマイナス、年率換算で0.4%のマイナスでした。
事前の予想では、その前の7‐9月期が大幅なマイナスだったため、多くのエコノミストがプラス1%程度の成長を見込んでいました。それだけに2期連続マイナスは衝撃的でした。
中身を見ても、個人消費が前期比0.2%減、設備投資が0.1%減、住宅投資が1.0%減と、いわば「総崩れ」の状態で、良いのは、インバウンド需要も含めた輸出の2.6%増だけです。
とりわけGDPの6割近くを占める個人消費は、これで3期連続のマイナスで、コロナ明けの経済正常化にもかかわらず、物価高が消費マインドを、長く・大きく、冷え込ませていることがはっきりしました。
名目GDPは600兆円目前 バブル期以来の伸び
しかし、GDP統計を名目で見ると、随分、風景が違ってきます。
10-12月期の名目GDPは年率換算で1.2%増加と2期ぶりのプラスでした。
1年を通してみると、一層、特徴がくっきりと浮かび上がります。2023年の日本の名目GDPは実額で591兆4820億円でした。これは前年比で、なんと5.7%もの増加で、1991年のプラス6.5%以来の高い数字です。2023年の中国の名目成長率は4.6%でしたので、驚くべきことに、日本は中国よりも高い名目成長を実現したのです。
実額の591兆円という水準も画期的です。前年の550兆円台から、600兆円まであと一歩のところまで達しました。日本のGDPは長らく500兆円というのが相場で、リーマンショックの2009年や、東日本大震災のあった2011年には、500兆円割れにまで追い込まれました。30年間見えなかったGDP600兆円という代替わりが、ついに見えて来たのです。
名目GDPはドイツに抜かれ世界4位に転落
この名目GDP591兆円を1年間の平均為替レートで割ったドル換算額が、ドイツに抜かれたことが大きく取り上げられています。確かに、名目GDPが、①アメリカ、②中国、③ドイツに次ぐ世界4位に転落したと聞けば、愉快ではないでしょうが、足もとで進んだ急速な円安が大きな要因です。
であれば、これを自虐的に受け止めるよりも、長年ドイツより成長率が低かった理由に向き合い、成長を再起動することの方が重要です。