2023年、1年間の消費支出は2.6%減少し、3年ぶりのマイナスとなった。
物価高で家計の節約志向が強まっている。

企業の好決算相次ぐも…家計は根強い節約志向

2月6日、総務省が発表した家計調査によると、2023年の1年間の消費に使った金額は、物価の変動を除いた実質で2.6%減少と3年ぶりにマイナスとなった。

物価の上昇に賃金の伸びが追いついていない。2023年の実質賃金は前年比で2.5%下回り、2年連続で減少した。

街で30代の男性に話を聞いた。「(賃金が物価に)追いついてほしい。会社も賃上げがなかった。もう生活水準を下げるしかないんで悔しい」。

こうした中、ローソンが6日から始めたキャンペーンが人気だ。合計19種類の商品を価格はそのまま総重量などを47%増量して販売する。その名も「盛りすぎチャレンジ」。

例えば、カツカレーは、とんかつを2倍に。定番のプレミアムロールケーキはクリームをてんこ盛りにしている。

来店客は…「限定でモリモリのものを食べたかった。特別感を味わいたくて」。

今年で2回目のこの企画、仕入れ量を2.5倍にしても売り切れてしまうほど好評という。

ローソン商品本部 梅田貴之本部長補佐:
お値段そのままで47%増量なのでお得というところもあるが、家計のやりくりが非常に大変ということで、今回こういう企画を実施した。

消費者がお得な商品に飛びつく一方で、企業の決算発表では、業績の上方修正が相次いだ。

三菱重工 小澤 壽人 最高財務責任者:
受注高、売上収益、利益のいずれも前年同期を上回りました。

日本マクドナルドホールディングス 日色 保社長:
売上高、利益ともに過去最高となりました。

特にトヨタ自動車は、2024年3月期の通期の業績予想を上方修正し、売上高に当たる営業収益は5000億円引き上げ、43兆5000億円。最終利益は5500億円引き上げ、4兆5000億円になると発表。円安や値上げが寄与したもので、最終利益で4兆円を超えるのは初めて。

SMBC日興証券の集計によると、トピックスを構成する企業の2024年3月期の純利益の見通しは、2月8日時点でおよそ2割にあたる194社が上方修正している。こうした企業の好決算とは対照的に、家計からは景気が良い実感を持てていないと専門家は指摘している。

第一生命経済研究所 経済調査部首席エコノミスト 永濱利廣氏:
企業にとっては、円安になれば海外現地法人も稼いだ儲けは円に換算したらその分膨れる。
家計にとっては短期的には輸入物価の上昇を通じた負担増が上回ってしまうので、足元では、企業の景況感は改善しても、家計の景況感が悪化している状況になっている。

また永濱氏は、企業の賃上げが積極的でないことも原因だと指摘する。

第一生命経済研究所 経済調査部首席エコノミスト 永濱利廣氏:
企業経営者が人材流出の危機感、これが低いことによって値上げはするが、そこまで賃上げには積極的になってない。経営者の人材流出に対する危機感を高めるためには、転職優遇税制みたいなことをすることによって、もっと労働市場が流動化する。それによって経営者に対するその人材流出の危機感を高めることによって、長い目で見れば労働分配率が下がらないで賃金が上がっていく方向に行きやすいと思います。

企業と家計で景況感のギャップが拡大する中、その差を埋める賃上げの動きがどこまで広がるかが焦点となっている。