アメリカのバイデン大統領の自宅や事務所から機密文書が見つかった問題で、捜査を行っていた特別検察官は「バイデン氏は意図的に機密情報を保持していた」と指摘する一方、刑事訴追はしないと結論付けた報告書を公表しました。

この問題はバイデン大統領が副大統領だった当時の機密文書が自宅や個人事務所から複数、見つかったものです。

8日、捜査を行っていたハー特別検察官が報告書を公表し、「バイデン氏は意図的に機密情報を保持していた」と指摘する一方、「刑事訴追するのに十分な証拠は見つからなかった」と結論付けました。

報告書はバイデン氏が2017年に副大統領を退任した後、軍事やアフガニスタン政策に関する機密文書や機密情報を記した手帳などを自宅などに持ち出していたと言明。回顧録の出版のためゴーストライターに機密情報を共有したと認定したほか、自宅のガレージに段ボール箱に入った状態で機密文書が置かれていたとする写真も示しました。

そのうえで訴追を見送る理由として、バイデン氏が捜査に協力的だったことに加え、「記憶力が著しく限られている」ことを挙げました。

「裁判になれば、陪審員はバイデン氏を善意の、記憶力の悪い高齢の男性だと判断するだろう」と指摘し、バイデン氏の大統領退任後に裁判が行われることを想定して「80代の元大統領が故意に重罪を犯したと陪審員を説得するのは難しいだろう」と説明しています。

アメリカ バイデン大統領
「特別検察官が結論を出したことを嬉しく思います。私はこの事件で訴追されるべきではないと信じていたし、知っていました」

バイデン大統領はこのように述べたうえで「特別検察官がドナルド・トランプの事件との違いを明らかにしたのは特に喜ばしいことだ」と話しました。

一方、トランプ前大統領は「司法は二重構造で、憲法に違反して起訴する事件を選別している!バイデン氏の問題は私の起訴の100倍深刻なものだ!」とのコメントを発表しています。