パレスチナ自治区ガザ北部で攻撃を強めるイスラエル軍は、最大都市「ガザ市」を「陸海空から包囲している」と明らかにしました。また、ネタニヤフ首相はイスラム組織ハマスとの「一時的な停戦」について拒否する姿勢を改めて示しています。

イスラエル軍は、ガザ北部にある「ガザ市」で攻勢をかけていて、報道官は3日、「陸海空からガザ市を包囲している」と表明しました。

また、ハマスの地下トンネルに爆弾を仕掛け破壊する映像も公開。地上と地下にある軍事拠点を攻撃し、戦闘員の排除を進めているとしています。

一方、イスラエルと敵対するレバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」の指導者ナスララ師が、イスラエルとハマスの戦闘開始以降、初めて演説しました。

ヒズボラ指導者 ナスララ師
「人々はヒズボラがいつ戦闘に入るのかと尋ねている。我々は10月8日に戦闘に入った」

ナスララ師は先月7日のハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃のあと、ヒズボラとイスラエル軍は戦闘状態にあるとしたうえで、イスラエルがガザでの戦闘を続ければ紛争が拡大すると警告しました。

こうしたなか、パレスチナ赤新月社は3日、ガザ北部にあるシファ病院の近くで救急車の車列が空爆を受けたと明らかにしました。15人が死亡したほか、60人以上がけがをしたとしています。

これについて、イスラエル軍は空爆を認めた上で、「この攻撃でハマスの戦闘員を多数殺害した」と主張。「救急車を使って戦闘員や武器を運ぶのがハマスの手法だとの情報がある」としています。

イスラエルとハマスの戦闘による犠牲者は増え続けていて、ガザの保健当局は、これまでに9200人以上が死亡したと発表、イスラエル側と合わせた死者は1万600人を超えました。

こうした中、アメリカのブリンケン国務長官はイスラエルを訪問し、ネタニヤフ首相らと会談しました。

アメリカ ブリンケン国務長官
「私たちはイスラエルに、民間人の犠牲を最小限に抑える方法について親友ならではのアドバイスを提供した」

ただ、「人道目的の戦闘の一時停止」については、引き続き協議することで合意したものの、具体的な進展はありませんでした。

ネタニヤフ首相は会談後、人質の解放を伴わない「一時的な停戦」を拒否する考えをブリンケン氏に伝えたと発表。「勝利を収めるまでハマスへの攻撃をやめることはない」と改めて強調しました。