8月の米雇用者数が予想外の大幅増となったことで、米連邦準備制度理事会(FRB)が今月の会合で利上げに踏み切るとの見方が強まった。ただ、利上げが確実になったわけではない。

非農業部門雇用者数はブルームバーグがまとめた市場予想の全てを上回り、失業率は4.1%で横ばいだった。ただ、労働市場が物価上昇圧力を高めていることを示唆する内容とはならず、市場関係者の間では、FRBによる次回の政策金利判断は7日の週に発表されるインフレ指標次第との見方が引き続き多い。

BMOキャピタル・マーケッツのストラテジスト、ベイル・ハートマン氏は雇用統計について、「きょうのデータはタカ派陣営を後押しする内容だが、9月16日の利上げを決定づけるまでには至っていない」と、顧客向けリポートで指摘。

「9月利上げに関する市場の織り込み度合いは上昇したが、雇用統計の重要性はインフレ指標に比べれば二次的だ」と記した。

フェデラルファンド(FF)金利先物の価格に基づけば、今月に利上げが実施される確率は約50%から60%をわずかに上回る水準へと上昇した。

フィッチ・レーティングスの米経済担当責任者、オル・ソノラ氏は今回の雇用統計を「文句なしに強い」と評し、労働市場の安定を裏付ける内容だと指摘。

一方で「真のイベントリスクは来週の米消費者物価指数(CPI)だ。金融政策判断を動かし得るのは、そちらの数字だ」と述べた。

インフレ指標

米労働統計局(BLS)は8月の米生産者物価指数(PPI)を10日に、CPIを11日に公表する予定。

多くのFRB当局者は高止まりするインフレに懸念を示しているが、金融政策での短期的な対応を巡っては意見が分かれている。物価上昇圧力が根強いことを示す新たなデータが出れば、米連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げに傾く可能性がある。反対に、インフレ鈍化を示す内容なら、金利据え置きを再び選び得る。

コンファレンスボードの米国担当シニアエコノミスト、エレーナ・シュルヤティエバ氏は「全ては来週のインフレデータ次第だ」と述べた。

同氏によれば、当局者の「大きな一団」は、インフレ率がFRBの2%目標に向かって持続的に低下している証拠を求めて、来週のデータを注視している。そうした証拠が得られなければ「FRBは利上げをする」と、同氏は予想した。

こうした中、トランプ米大統領は4日、FRBに対する利下げ圧力を強め、FRBが行動しなければ対米黒字国・地域との貿易を打ち切ると警告した。FRB当局者が金融政策判断から切り離そうとしてきた「政治」という変数が絡んできた格好だ。

トランプ氏は、金利を高く維持し過ぎているとしてパウエル前FRB議長をたびたび批判していた。ウォーシュ現議長は就任以来、インフレ抑制への決意を示す一方、向こう数カ月以内の利上げを支持していると受け取られかねない具体的な示唆を送ることを意図的に避けてきた。

ただ、8月下旬のジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)での講演では、これまでで最も利上げに踏み込んだ姿勢を示した。

クリーブランド連銀のハマック総裁は4日、雇用統計の発表後にリンクトインに投稿し、インフレを抑えるためFOMCは行動に踏み切る時だとの考えをあらためて示した。

ポトマック・リバー・キャピタルの最高投資責任者(CIO)、マーク・スピンデル氏は雇用統計について、公立学校などの分野を中心に、それまで示されていた雇用の弱さが一部修正されたと指摘。

「きょうのデータは強かったが、これだけを理由に金融引き締めに動く当局者はいないと思う」と述べ、「決め手となるのは来週のインフレ統計だ」と語った。

原題:Fed Rate Decision Still Hangs on Inflation After Jobs Report (2)(抜粋)

(第8段落以降に他のエコノミストの見方などを追加して更新します)

--取材協力:Catarina Saraiva、Andrew Ackerman.

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