(ブルームバーグ):米中央軍は、7日にホルムズ海峡をオマーン湾に向け航行していた海軍駆逐艦へのイランの攻撃に応戦し、背後にある同国の軍事施設を標的に反撃を行った。戦争終結に向けた協議が続けられる状況で、今回の衝突が脆弱(ぜいじゃく)な停戦を崩壊させ、交戦の再開を招く事態も懸念される。
トランプ米大統領は「彼らが合意に速やかに署名しなければ、彼らをきょう再びたたきのめしたように今後はもっと激しく、猛烈にたたきのめしてやる!」とソーシャルメディアに投稿。ABCニュースとの電話インタビューでは、今回の行動を「軽いお仕置き」と表現し、イランとの停戦は引き続き「有効」だと発言した。
さらに行きつ戻りつの状況にもかかわらず停戦はなお有効だと記者団に述べ、イランの行動を重要視しない姿勢を示す一方、合意が成立しない場合は、結果が待っていると警告した。
米国が3カ月目に突入した戦争の収拾を目指す中で、今回の衝突により中東地域の緊張が再び高まった。トランプ政権は世界的エネルギー危機を引き起こした戦争の終結と、エネルギー輸送の要衝、ホルムズ海峡の再開に向け、1ページの覚書をイランに提示し、同国からの回答を待っていた。
中央軍がX(旧ツイッター)に投稿した声明によれば、イランによる米軍艦3隻への攻撃には「複数のミサイル、ドローン、小型ボート」が使われた。「米軍の資産の被弾はなかった」という。
中央軍は「事態のエスカレートを求めていないが、態勢を維持し、米軍を守る用意を整えている」と表明。米軍は「接近する脅威を排除し、ミサイルとドローンの発射場、指揮統制拠点、情報・監視・偵察(ISR)拠点など、米軍への攻撃に関与したイランの軍事施設を標的にした」と説明した。
イランはこれより先、米軍がホルムズ海峡に向かう石油タンカーと海峡に入ろうとしていた別のタンカー計2隻を攻撃の標的とし、停戦に違反したと主張していた。イラン合同軍事司令部の報道官のコメントを引用し、国営英語放送局プレスTVが伝えた。
プレスTVによると、「一部の地域諸国の協力」を得て、米軍はバンダルハミルとシリク、ゲシュム島沿岸の民間人居住地域も攻撃したという。
トランプ大統領は、イラン戦争の早期終結を求める内外からの強い圧力にさらされている。6カ月後に控える米中間選挙ではエネルギーコストが主な争点になることは避けられず、世論調査も米国民の不満の高まりを示す。ガソリン価格は2022年7月以来で初めて1ガロン=4.50ドルを突破した。
トランプ氏が14、15日に中国を訪れ、習近平国家主席と北京で会談する予定であることも戦争終結を急ぐ切迫感をさらに高めている。米中首脳会談は、イラン戦争の影響で当初の日程が変更された。

事情に詳しい関係者によれば、米政府が提示した覚書の条件で合意が成立すれば、ホルムズ海峡再開と米軍が実施しているイラン港湾の海上封鎖解除に道が開かれる可能性があり、戦争終結での最終合意を目指し、1カ月間の協議に入る前提が整う。
関係者1人が6日語ったところでは、イランが一両日中に、仲介役を務めるパキスタンを通じて回答すると予想される。イラン学生通信( ISNA)は提案の内容に関する報道について、「メディアによる臆測と印象操作」に過ぎず、核濃縮は現時点の協議の対象ではないと主張した。
イラン指導部は、米国の提案の条件を受け入れる意向かどうか示唆していないが、核開発計画で譲歩する兆しはこれまでほとんど見られず、ウラン濃縮の一時停止を受け入れる姿勢も示していない。
一方、米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、トランプ政権は一時停止したホルムズ海峡での船舶の航行支援再開を目指しており、サウジアラビアとクウェートが米軍による両国の基地および空域の使用制限を解除したと同紙は報じた。
米中央軍の当局者は、基地を巡る報道について、サウジおよびクウェート政府に問い合わせるよう促した。船舶の航行支援が再開されるかとの質問には、臆測を控えた。サウジとクウェートの大使館にコメントを求めたが、これまでのところ返答はない。
ヘッジファンド運営会社テン・キャップ ・インベストメント・マネジメント」の共同創業者、ジュン・ベイ・リウ氏は「イラン戦争やホルムズ海峡に関し、投資家は今後1カ月程度で何らかの決着を想定し、エネルギー価格は下げ、他の全ての相場は上昇している。短期的には、きょうのようなニュースの見出しに伴う変動は起こり得るが、新たな突発的事象が深刻化しない限り、市場は安値拾いに動くだろう」と指摘した。
原題:US Fires at Iranian Targets as Trump Demands Tehran Accept Deal、Iran Claims US Strikes Violated Ceasefire: Press TV(抜粋)
(米中央軍当局者のコメントを追加して更新します)
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