(ブルームバーグ):トランプ米大統領がイスラエルと共に突き進む対イラン戦争を、中国人民解放軍は傍観しつつ、米軍の攻撃能力を分析している。西側諸国の関係者によれば、中国はその結果として、インド太平洋地域における戦略的優位が自国に傾いていると評価している。
この過程で得た極めて貴重な情報は、台湾有事の際に活用される可能性が高い。中国は台湾を自国の領土だと主張するが、台湾政府はこれを拒否している。中国国防省はコメントの要請に応じていない。
中国は依然として今回の戦争の経済的・外交的影響をシミュレーションしている段階だが、米国の関心とリソースがインド太平洋から中東へと移っていることを、習近平国家主席は歓迎する可能性が高いと当局者らは述べた。アジアからイランへと、米軍の戦力配備がシフトすることがその理由だという。この戦争は中国に加え、原油高や制裁緩和を通じてロシアのプーチン大統領にも利益をもたらしている可能性がある。

習主席は同盟国であるイランを巡る紛争について沈黙を守っているが、台湾問題については対照的に、武力行使も辞さない中国としての立場を繰り返し明確にしている。一方で近年では大規模な軍の粛清が進んだことから、人民解放軍の戦争準備を疑問視する声も聞かれる。

元駐中国米大使のニコラス・バーンズ氏は、中国はこの4年間、ウクライナの戦場に「同様の強い関心」を示してきたことから、人民解放軍がイランに対する米軍の作戦を分析しようとしていることは「全く驚きに値しない」と18日、ロンドンで語った。バーンズ氏はまた、米国がオーストラリアや日本、フィリピンを含む同盟国との緊密な軍事的連携を維持する必要性を強調した。
「欧州を米国およびアジアの同盟国と関与させ続けることが極めて重要だ」とバーンズ氏は英王立国際問題研究所(チャタムハウス)で述べた。「それは中国の利益にならない。しかしそれが中国を揺さぶり続けることになる」と指摘した。
中国共産党系の「環球時報」で編集長を務めたタカ派の論客、胡錫進氏は先週「消耗戦は米軍の戦闘能力の『余力が乏しい状態』を示した」とソーシャルメディアに投稿。「台湾海峡で人民解放軍と戦えると、一部の米国エリートが豪語しているのは実に滑稽だ」と述べた。
米国は日本から最大2400人の海兵隊やF-35搭載艦を中東へ派遣している。韓国の李在明大統領も防空装備がアジアから移転される可能性を認めた。米国が高価な迎撃ミサイルを消費し弾薬備蓄が急減している点も、中国に有利と当局者らはみている。
イラン戦争の費用は非公表だが、最初の6日で113億ドル(約1兆8000億円)が費やされたとニューヨーク・タイムズは試算した。ドイツのラインメタルは最初の72時間で40億ドル相当と経費を見積もっている。
ソーシャルメディアで「兎主席(Chairman Rabbit)」として人気を集めている任意氏は、「X(旧ツイッター)」への長い投稿で、米国とその同盟国が「イスラエル・ファースト」の世界に一段とのみ込まれていると表現した。
「これは明確な序列を示している」と、任氏は記した。「イスラエルが最上位で、米国よりも格上だ」と述べ、「他の同盟国や協力国は最下位に置かれ、残り物を奪い合うしかない」と付け加えた。
原題:China Gains Edge From Trump’s War With Iran, Officials Say (1)(抜粋)
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