(ブルームバーグ):イラン戦争が長期化の様相を見せるなか、燃料や肥料の価格高騰が米農家を直撃している。作付け期を目前に控えたタイミングでコスト負担が急増しており、トランプ大統領の主要支持層である農家の間に不安が広がっている。
全米トウモロコシ生産者協会の元会長パム・ジョンソン氏は、肥料の調達や支払いに加え、トラクターやコンバインなど農機の燃料費についても農家は懸念を強めていると述べた。
戦争に起因する農業従事者のコスト負担増が長引けば、11月の中間選挙での議会の勢力争いに大きな影響を及ぼす可能性がある。農家はすでにトランプ関税による輸出市場の混乱に直面しており、必需資材のコスト上昇にも苦しんできた。
10年前まで接戦州と見られていたアイオワ州では、民主党に対する支持拡大の余地が生まれる可能性がある。

特に肥料価格の上昇が顕著だ。とりわけ中西部のトウモロコシ農家が多用する窒素系肥料の尿素が上昇している。尿素のスポット価格は2週間で28%上昇し、ウクライナ戦争初期以来の高水準となった。国連によると、世界の肥料輸送の3分の1がホルムズ海峡を通過している。
ディーゼル燃料も戦闘開始以降で約3割超上昇。米国のディーゼル価格は1ガロン(約3.8リットル)=5ドルを突破し、2022年12月以来の高水準となった。

全米最大のトウモロコシ生産州であるアイオワ州では、共和党のジョニ・アーンスト上院議員の退任に伴う議席が11月に争われる。民主党は同州の下院4議席のうち3議席の獲得も狙っている。
農家や地方部の住民の間でトランプ氏への支持に変化が生じれば、ジョージア、ノースカロライナ、オハイオ、テキサスなど接戦州における上下院選にも影響を与える可能性がある。
アイオワ大学のマイケル・ルイスベック教授(政治学)は「共和党にとって、この状況への対応は非常に難しい」と指摘。伝統的に共和党を支持してきた農家の投票率は、11月中間選挙で低下するとの見方を示した。
農家など従来の支持層の投票参加が鈍れば、共和党にとって不利に働く可能性がある。
アイオワ州東部ベントン郡でトウモロコシと牛を生産するランス・リリブリッジ氏は「多くの生産者が肥料を確保できていない。現状を受けて不安が広がっている」と語った。
それでも、過去の選挙でトランプ氏に3度投票した同氏は、大統領への支持を揺るがせていない。イランとの戦争についても「必要悪だ」と述べた。
農家には、トウモロコシから大豆への転作など対応策もある。イリノイ大学の試算によると、大豆は必要な肥料がトウモロコシの約3分の1で済む。
ただ、こうした対応にはリスクも伴う。米国では今年、大豆の作付面積がトウモロコシを上回る見通しで、さらに転作が進めば市場の供給過剰を招きかねない。
家族が750エーカー(約300ヘクタール)の農場を営むアイオワ州選出の共和党の重鎮、グラスリー上院議員は、今後の対応について「イラン戦争を終わらせることだ。ただし勝利する形で」とぶっきらぼうに語った。
原題:Iran War Cost Spike Straining Farmers Ahead of Midterm Elections(抜粋)
--取材協力:Steven T. Dennis.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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