(ブルームバーグ):ロシアはウクライナでの戦争で、ますます外国人兵士への依存を強めていると、ヒーリー英国防相が指摘した。ロシア軍が補充可能な能力を上回る人的損失を被っているためだという。
ヒーリー氏はミュンヘン安全保障会議の合間にブルームバーグ・ニュースに対し、ウクライナがロシアに戦場で生じさせた死傷者数は、過去2カ月にわたりロシアが採用できた新兵の数よりも多かったと述べた。これはウクライナのフェドロフ国防相から今週、欧州他国の国防担当相に報告があったという。
その結果、ロシア軍は外国人戦闘員により頼らざるを得なくなっていると、ヒーリー氏は指摘。その数は数千人規模に上り、インドやパキスタン、ネパール、キューバ、ナイジェリア、セネガルなどからロシアは兵士を調達しているという。
これらの戦闘員は「虚偽の口実で勧誘され、『弾よけ』としてウクライナの前線に送られることを必ずしも理解しないまま、強制的に徴兵されていることも多い」とヒーリー氏は述べた。また、ロシアのために戦っている北朝鮮兵の数は約1万7000人に上るとの見方を示した。
丸4年が経とうとしているロシアのウクライナ侵攻はこう着状態に陥り、2年目以降は支配地域に大きな変動はない。拡大を続けるロシア軍の損失は、トランプ米大統領も時おり同調する、ロシアの勝利は不可避だとするプーチン大統領の主張に疑問を呈する。
フェドロフ氏は、夏までにロシアの人的損失を月間5万人に膨らませる目標を掲げており、それが実現するなら、何らかの動員措置に踏み切ることなくプーチン氏が兵士を補充するのは困難になるだろうと、西側当局者はみている。
動員はロシアで極めて不人気なため、この選択肢をプーチン氏は避けてきた。2022年に予備役30万人を召集した際には数十万人が国外に脱出し、戦争に対する国民の不満が急激に高まった。
ブルームバーグは先週、ロシアが1月にウクライナの戦場で被った死傷者は、補充できた人数よりも約9000人多かったと報じた。ウクライナのゼレンスキー大統領は、同月にロシア軍兵士3万人が戦死したと述べていた。
「プーチン氏はこれを今のところ気にしていないが、気にし始める水準はある」と、ゼレンスキー氏は14日にミュンヘン安保会議で語った。
ロシア当局は軍事的損失を公表していないが、プーチン氏や軍上層部は、死者数はウクライナ側よりはるかに少ないと公に主張している。これに異なる見解を示すロシアの軍事ブロガーは多く、防御の堅いウクライナの陣地にロシア軍指揮官が突撃を命じたことで過大な損失を招いたと嘆く声も聞かれている。
1対25
西側当局者の分析によれば、昨年のロシア軍死傷者は約41万5000人だったとみられ、2024年の43万人からはやや減少した。だが、これで2022年の全面侵攻開始以来の累計死傷者数は120万人を超えた。
また、昨年12月のロシア軍死傷者数は1日当たり1130人、月間では3万5000人に上ったと、西側当局者はみている。死傷者数の増加は、ウクライナ軍の無人攻撃機(ドローン)による作戦がより効果を増したためだという。
西側当局者は、2026年を通じてロシアがウクライナでの戦闘を継続できる可能性が高いとみている。入隊キャンペーンや軍需生産、中国など他国の支援がそれを支えるとの見方だ。
スターマー英首相はミュンヘンでの演説で、ロシアは多数の兵士を失いながらも、軍の再武装や再編成を続けることができていると警告した。仮に和平合意が成立したとしても、ロシアの再軍備は加速するだけで、欧州に対する脅威は膨らむだろうと述べた。
ウクライナ軍のトップであるシルスキー総司令官は先週記者団に対し、戦闘におけるドローンの使用増加で前線での戦闘地域が広がり、最大で15-20キロメートル拡大したと語った。
ヒーリー氏は「ウクライナが引き続きロシアの甚大な圧力にさらされていることを忘れてはならない。前線はもちろん、民間人や都市もそうだ。しかし、ウクライナはいくつかの領土や町を奪還している」と指摘。死傷者の比率が1対25でロシア軍の方が多い前線もあると主張した。
この傾向はウクライナへのドローン供給増加が後押ししており、ロシアの戦争遂行に圧力を強める上で鍵になると、西側当局者はみている。ウクライナによると、ロシアは新兵募集の目標を上回る数の新兵を調達している様子だが、戦場にいる兵士の数は過去6カ月間ほぼ変わらず、最大71万2000人にとどまっている。
「プーチン氏はロシア軍が容赦なく前進しているとの印象を与えたいのだろうが、実際には同氏は以前よりも弱体化し、外国人戦闘員への依存を強めている」とヒーリー氏は述べた。
原題:Russia’s Losses Boost Reliance on Foreign Fighters, UK Says (1)(抜粋)
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