米動画配信大手Netflixの時価総額は、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)買収提案を巡る懐疑的な見方を背景にわずか6営業日で400億ドル(約6兆2000億円)消失した。だが個人投資家にとってこれは明確な買いシグナルとなっている。

今月2-10日に株価が15%下落し、6営業日として2022年5月以来最大の下げとなる中でも、個人投資家はNetflix株を積極的に購入。ウォール街が長引く買収合戦の行方を見極めようとする中、インタラクティブ・ブローカーズのプラットフォームでは8日までの1週間で売買高が3番目に多かった。

株価が11日に一時2.3%高とやや持ち直す中でも、個人投資家はなお買い攻勢にある。フィデリティのプラットフォームでは買い注文が売り注文を約3対1の割合で上回っており、JPモルガン・チェースのデータも個人の強い買い意欲を示した。

インタラクティブ・ブローカーズのチーフストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏は「顧客は、回復しそうだと感じる銘柄で押し目を狙う傾向がある」とし、WBDとの取引、ボラティリティー、株価下落の3要素が「この銘柄が目立つようになった理由だ」と語る。

Photographer: Ethan Swope/Bloomberg

Netflix株は過去2カ月では23%下落した。売上高の先行きに対する懸念にWBD買収を目指すリスクが加わった。WBDに対するパラマウント・スカイダンスの約1080億ドル規模の敵対的買収提案やトランプ大統領の関与で、買収合戦の懸念や規制当局が買収に反対する可能性が意識され、警戒感は強まっている。

こうした下落局面は、株価は最終的に上昇すると考える個人投資家を呼び込むことが多い。今回の急落を受け、個人の買いは加速しているが、そうした動きの起点は、NetflixがWBDの事業買収を検討しているとロイター通信が最初に報じた10月末だ。バンダ・リサーチのデータによると、個人投資家はそれ以降、Netflix株を5億2000万ドル強相当購入した。

Netflix株は今年、出足は好調だった。6月末までに50%上昇し、ナスダック100指数の構成銘柄で4位に入っていた。だが下期は流れが反転。30%下落し、最下位から7番目の位置にある。年初来では5.5%のプラスにとどまる。

向こう1年間の予想利益に基づく株価収益率(PER)は現在31倍。約1年ぶりの割安圏にあり、過去5年平均の34倍を下回っている。

原題:Retail Crowd Is Loading Up on Netflix After $40 Billion Selloff(抜粋)

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