オークツリー・キャピタル・マネジメントの共同創業者ハワード・マークス氏は、リターン環境が落ち着く中、米連邦準備制度理事会(FRB)による資金コストの「操作」が人々をよりリスクの高い投資へと向かわせると指摘。その上で、金利を現行水準から大幅に引き下げることに意義は見いだせないとの考えを示した。

Photographer: Jeenah Moon/Bloomberg

マークス氏は11日、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「FRBは大半の状況において静観すべきで、経済が深刻な過熱状態にあってハイパーインフレに向かっているか、あるいは著しく停滞し雇用を生み出していないときにのみ救済に動くべきだと考えている」と発言。「現在はそうした状況ではない」と続けた。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は10日、0.25ポイントの利下げを決定。政策金利は2022年以来の低水準となった。ただ政策当局者の間では、米経済にとってより大きなリスクが労働市場の弱さなのか、根強いインフレなのかを巡って見解の相違が存在する。

トランプ大統領は、今回の会合で利下げ幅を2倍にすべきだったと指摘したが、マークス氏は人為的に金利を低くすれば、FRBは市場に介入して問題を解決してくれるという見方が強まり、リスクの高い行動を助長すると主張した。

「中程度のリターン環境で高いリターンを得るにはどうすれば良いのか。大半の人はより多くのリスクを取る方向に走るが、私はよほど説得力がある場合を除き、そうした行動は好まない」とマークス氏は語った。

同氏はまた、今週投稿したブログで、人工知能(AI)が雇用に及ぼす影響に恐怖を感じていると記した。

11日のインタビューでは、AI分野では上振れ余地があることから、現在は信用市場より株式の方が魅力的だとの見方を示した。また現在の市場は2000年のテクノロジーバブル時より健全に見えるとも述べた。

原題:Howard Marks Warns of Little Merit in Further Fed Rate Cuts (1)(抜粋)

(マークス氏の発言を追加し、更新します)

--取材協力:Lisa Abramowicz.

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