欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会は9日、米グーグルが自社の人工知能(AI)ツールを利用して支配的地位を乱用し、競合を排除した疑いがあるとして調査すると発表した。米メタ・プラットフォームズも同様の問題で調査を受けている。

発表によると、欧州委員会は、グーグルがコンテンツ制作者に対して不公正な契約条件を課すことで競争を歪め、自社のAIモデルに優位性を与えていないかを調べる。AIが複数の情報源を統合・要約して検索結果に示すグーグルの「AIオーバービュー」や「AIモード」についても、どの程度ウェブ上のコンテンツが使われているのか、それに対して適切な対価が支払われているか調査する方針だ。

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リベラ欧州委員(競争政策担当)は記者会見で「この件は、オンライン報道機関やその他のコンテンツ制作者を保護し、新たに台頭するAI市場で公正な競争を確保するというわれわれの強い決意を改めて示すものだ」と語った。

グーグルは「EUのこの主張は、かつてないほど競争が激しい市場において、イノベーションを阻害するリスクがある。欧州の人々には最新技術の恩恵を受ける権利があり、グーグルはAI時代への移行に際し、報道・クリエイティブ業界と今後も緊密に連携していく」とのコメントを発表した。

今回の措置は、トランプ米政権のさらなる反発を招きそうだ。同政権は、グーグルに対する総額95億ユーロ超の制裁金や、アップルに対するアイルランドへの130億ユーロの追徴課税命令など、米国のテック大手に対する一連の巨額制裁金を問題視している。

トランプ氏は、この問題を理由に、先端技術に対する新たな関税や輸出制限の導入をほのめかしてきた。米政府関係者は、EUがテック関連の規制を緩和するまでは、鉄鋼やアルミ製品に対する50%の関税も解除しない方針を示している。

原題:Google Hit by EU Abuse of Dominance Probe Over AI Tools (2)(抜粋)

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