(ブルームバーグ):米半導体大手エヌビディアは市場予想を上回る好調な売上高見通しを発表した。人工知能(AI)業界がバブル状態にあるという見方を否定したことで、テクノロジー業界全体に広がっていた懸念を和らげた。
19日に発表した資料によると、11月-2026年1月(第4四半期)の売上高見通しは約650億ドル(約10兆2000億円)と、アナリスト予想平均の620億ドルを上回った。
今回の見通しは、AIモデルの開発に使われる高性能半導体「AIアクセラレーター」への旺盛な需要が続いていることを示している。市場ではこうした高額なAI関連設備への過剰投資は持続不可能だとの懸念が強まっていた。
ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)はアナリストとの電話会議で「AIバブルについて多くの議論が交わされている。しかし、われわれの視点からは、全く異なる状況が見えている」と語った。
決算発表を受け、同社株は引け後の時間外取引で約4%上昇。年初来では19日終値時点で39%上昇していた。
エヌビディアの決算はAI業界全体の健全性を示すバロメーターと見られており、今回の決算を受け関連銘柄の株価も上昇。ネオクラウド事業者のコアウィーブが10%余り上昇したほか、同業のネビウスも8%超上げた。
ザックス・インベストメント・マネジメントのシニアポートフォリオマネジャー、ブライアン・マルベリー氏はリポートで「AIの勢いが衰えていないというニュースに市場は非常に好意的に反応している」と指摘。「エヌビディアのハードウエアソリューションへの需要は依然として堅調だ」と述べた。ザックス・インベストメントはエヌビディア株を保有している。
フアン氏は発表資料で「コンピューティング需要は加速し続けている。AIはあらゆる場所であらゆることを同時に行っている」と述べた。
同氏は先月、同社が最新チップで5000億ドルの売り上げを生み出す軌道にあると表明。主力のAIアクセラレーター「ブラックウェル」と次世代「ルービン」が、2026年いっぱいまで売上高の前例のない成長をけん引すると述べた。
コレット・クレス最高財務責任者(CFO)は19日、5000億ドルという目標を上回る可能性があると述べた。
8-10月(第3四半期)の売上高は前年同期比62%増の570億ドル、1株利益は1.30ドルだった。市場予想はそれぞれ552億ドル、1.26ドルだった。
中核のデータセンター部門の売上高は512億ドルと市場予想の493億ドルを上回った。一方、かつて主力だったゲームPC向け半導体の売上高は43億ドルと予想の44億ドルをわずかに下回った。
今回の予想は同社の急成長を際立たせている。売上高は3年前の同四半期から約10倍に拡大する見通し。通期の純利益はインテルとアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の売上高を合わせた額を上回る勢いだ。
しかし、エヌビディアには課題もある。米国による先端半導体の対中輸出規制により、巨大な中国市場から締め出されている点だ。フアン氏は規制撤廃を米政府に働きかけており、国家安全保障上の目的に反して逆効果だと主張しているが、エヌビディアは現時点で中国向けAIアクセラレーターの売り上げを見込んでいない。
こうした中、米商務省は声明で、エヌビディアのAI半導体「ブラックウェル」について、サウジアラビアのヒューメインおよびアラブ首長国連邦(UAE)のG42への輸出を許可したと発表した。各社最大3万5000個という。承認は「厳格な安全保障および報告要件」を満たすことが条件と説明した。
原題:Nvidia’s Upbeat Forecast Soothes Fears of AI Spending Bubble (1)、Nvidia Chip Sales to G42, Humain Approved by Commerce Department(抜粋)
(情報を追加して更新します。更新前の記事で最高経営責任者の氏名を訂正済みです)
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