シリーズSDGs、「地球を笑顔にするウィーク」です。日本でも栄養価が特別に高いスーパーフードとして人気のフルーツ“アサイー”。その収穫の現場を訪ねると、世界的なブームの光と影が見えてきました。

ミキサーでかき混ぜられているのはアサイーから作られたピューレ。フルーツなどと一緒に出されるアサイーボウルは若い女性に特に人気です。

都内のこの店では、開発途上国の原料などを適正価格で購入するフェアトレードの認証を受けたアサイーを使用。週末は昼から多くの客で賑わいます。


「私は1週間に2回は食べてます」
「健康に良さそうな感じがはまってます」

美容などにもいいと、15年ほど前から世界中でブームとなり需要が急増しました。一方でいま、一部の収穫の現場では、ある大きな問題が指摘されているのです。

南米ブラジルのアマゾン。世界のアサイーのおよそ9割が生産されているとも言われています。

実がなっているのは20メートルを超える細い木の上です。これを収穫するのが…

「最初は高くて怖かった。でも今は慣れたから怖くないよ」

まだ16歳のガブリエルくんです。口にナイフを加えたまま、命綱などもつけず木のてっぺんへ。折れそうな細い木をしならせながらアサイーを収穫、ときには隣の木に乗り移ることも。

こうした作業のため、大人より体重の軽い子どもの働き手が重宝されていますが、木が折れるなどして子どもが落下する事故が多発。下半身がまひする大けがをした子どももいるといいます。

こうした環境は子どもを危険な作業にあたらせる「児童労働」だとして問題視されているのです。

一方、以前は買い手すらつかなかったアサイーですが、ブームの影響で値段は10年前のおよそ6倍まで高騰。貧しかったこの地域の人々の生活水準が格段に上がったのも事実です。

ガブリエルくんは家族のためにと、自ら進んで11歳から収穫を手伝ってきました。毎朝6時からアサイーを収穫した後、船に乗って午後から学校に通う毎日です。

ただ父親は、生計を立てるため小学校も途中から通えなくなった自分のようになってほしくないと、家業を手伝わせることに葛藤も抱えています。

ガブリエルくんの父 エレセさん
「アサイーの輸出が増えて本当に生活が助けられている。でも、息子には多くのことを学んで自分の道を切り開いてほしい」

自治体も問題の解消に動き出しています。この日は農家の子どもたちにプロのカメラマンが写真の撮り方を指導。家業を手伝うことだけが自分たちの仕事ではないことを伝えたりしています。

ガブリエルくん
「将来は、午前中アサイーの作業をして、午後は美容師かコンピュータに関わる仕事ができたらいいな。今後、家を支えるのは自分の役目だと思うんだ」

作る側も食べる側も幸せなブームに変えていけるのか。その一口の前に少し考えてみませんか?