米国が50%としている鉄鋼・アルミニウム関税の対象拡大を検討しており、欧州連合(EU)が懸念を示している。関係者らによると、シェフチョビッチ欧州委員(通商担当)とEU27カ国の貿易相は、24日にブリュッセルで予定されているラトニック米商務長官との会談で、この問題を提起する。

8月にフォンデアライエン欧州委員長とトランプ米大統領が合意したEU・米貿易協定では、多くの欧州製品に対する米国側の関税上限を15%と定めていた。しかし現在も鉄鋼・アルミニウムほか400を超える品目に50%の関税がかかっており、協定の趣旨に反するとEU側は主張する。

欧州委員会の報道官にコメントを求めたが、現時点で返答はない。

EUとしては自動車以外の産業にも15%上限が適用されるべきだとの理解であり、米国の工業製品と農産物の一部を対象に関税を撤廃する法案をすでに欧州議会に提示している。ただし同法案は欧州議会の承認を得ておらず、50%関税が課されている製品の扱いが主要な争点となっている。

協定の趣旨に照らせば、15%の上限は自動車や医薬品、半導体、木材など具体的に明記された品目にとどまらず、より幅広い産業に適用されるべきだというのが、EUの立場だ。さらに一定量の鉄鋼・アルミ輸出を低関税の対象とする「割当制度」を導入し、安価な輸入品の流入を防ぐために米国や他のパートナー国と貿易管理の仕組みを構築したい考えだ。

シェフチョビッチ氏はラトニック長官と会談する前日の23日に、米通商代表部(USTR)のグリア代表とも会談する。

複数の関係者によれば、米国側はEUとの間で法的拘束力のある協定を求めているが、EUは加盟国と議会の承認手続きが複雑になるとして慎重姿勢を崩していない。

原題:EU to Warn Lutnick Against Expanding Scope of US Steel Tariffs(抜粋)

--取材協力:Jenny Leonard.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.