バンガード・アセット・マネジメントは、日本銀行が年内に利上げし、日本の国債利回り曲線がフラット化した場合に利益を得られるポジションを構築している。日本の政治的混乱の先を見据えた取引だ。

バンガードの国際金利責任者アレス・クートニー氏は、日銀が12月の政策決定会合で利上げに踏み切ると見込み、短期債を売って期間が長めの債券を買うポジションを積み増している。

このスタンスは、政治情勢が流動的であるため、日銀は政策をより長く据え置くとみる投資家の支配的な見方とは対照的だ。日本では21日に召集される臨時国会で首相指名選挙が実施される見込みとなっている。

不確実性を背景に、政策金利の動向に敏感な短期債利回りが低下する一方、長期債の利回りは高止まりしている。その結果、利回り曲線がスティープ化している。

クートニー氏は、「次の利上げを織り込むプライシングがあまりにも遠い将来に離れているため、トレードに再び参入する機会が訪れていると、われわれは考えている」と語った。同氏は今月の利上げ確率をおよそ50%と見ているが、最近の政治的混乱が利上げ時期を12月まで遅らせる可能性も認めている。

オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場が織り込んでいる日銀利上げの確率は、10月29-30日会合が23%にとどまり、12月18-19日会合は62%となっている。完全に織り込まれているのは来年4月だ。

リプライシング

クートニー氏は、2年物スワップレートの上昇に賭けるポジションを積み増し、既存の5年物および7年物スワップのポジションを補完している。また、5年債をショート(売り持ち)にし、残存期間25年の国債をロング(買い持ち)にする取引も行っている。このほかに、7年物と30年物のフラット化ポジションも維持している。

「市場が日銀による追加利上げの必要性を認識すれば、5年債利回りに最も大きなリプライシングが必要になるとわれわれはみている」とクートニー氏は述べた。

現在、5年債と30年債の利回り格差は約190ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)。先月には、20年前までさかのぼるデータで最大の216bp前後まで拡大していた。これは、1月の利上げ前に見られた約140bpを大きく上回り、次の引き締め局面に向け、格差縮小の余地があることを示している。

原題:Vanguard Positions for BOJ Hikes to Flatten Japan’s Yield Curve(抜粋)

--取材協力:James Hirai.

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