(ブルームバーグ):膨張する先進国債務の問題に解決の兆しが見えない中、週明けの金融市場は米国やフランスのさらなる政治劇を目にすることになりそうだ。
この時期は主要中央銀行の政策決定や経済データの発表が比較的少なく、注目を集めそうなのは主要7カ国(G7)を中心とした財政・政府運営の機能不全の懸念。
米国では政府機関の一部閉鎖が続いており、フランスでは財政危機解決のための協議の行方が注目される。国内総生産(GDP)比での債務残高が世界最大の日本では新たな指導者が誕生する。英国では次の予算案を巡る困難が続く見通しだ。

9日から開催される欧州の財務相会合の議題には、複数年の予算案をどのように賄うかといった問題も含まれており、意見の対立が予想される。
こうした動きから浮かび上がるのは、膨大な借入金の山に直面する各国政府が難しい選択を迫られる中、政治的対立が主要経済の体力をむしばんでいるという現実だ。国際通貨基金(IMF)によると、世界の公的債務は総額99兆ドルに達している。
米国では議会での対立が最も注目されそうだ。トランプ大統領は連邦職員を一時帰休ではなく解雇すると警告しており、実施すれば事態のエスカレートも予想される。
フランスでは、予算案提出の期限が迫っており、ルコルニュ首相は週明けに政策方針の概要を提示する際、不信任決議に直面する可能性もある。
日本では、自民党総裁選に勝利した高市早苗氏が首相就任に向けて動き出し、難航が予想される予算編成を主導することになる。財務省は8月、2026年度予算の概算要求で、利払いと債務償還に充てる国債費として過去最大の32兆3865億円を計上する方針を示した。
英国ではリーブス財務相が11月発表の秋季予算案作成を本格化させる中、財政健全性に不安を抱く投資家をどう安心させるかという議論が続くとみられる。S&Pグローバル・レーティングは10日に同国の格付け評価を更新する可能性がある。
S&Pの予定にはイタリアの評価も含まれており、同国はG7の中では珍しく財政面の明るい材料となっている。イタリアはEUの過剰赤字国リストから除外される方向にあり、フィッチ・レーティングスは9月、イタリアの格付けを引き上げた。フィッチによるイタリア格上げは2021年以来のことだった。

アジア太平洋ではニュージーランドやタイを含む少なくとも3カ国で中銀の利下げが決まる公算が大きい。
9月に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事要旨の公表、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁による欧州議会での証言、イングランド銀行(英中銀)のベイリー総裁の講演なども注目されそうだ。
原題:Rich World Puts Its Public-Finance Quagmire on Display: Eco Week(抜粋)
--取材協力:Anthony Halpin、Brian Fowler、Laura Dhillon Kane、Vince Golle、Monique Vanek、Robert Jameson、Mark Evans、Kati Pohjanpalo、Beril Akman.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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