4日の日本市場では債券が下落。あすの30年利付国債入札に対する警戒感から売られた。株式は4営業日ぶりに反発、円の対ドル相場は144円を挟んでもみ合った。

5月に行われた20年債と40年債の入札が低調な結果となり、債券相場は大幅に下落した。このため、財務省が5日に実施する同じ超長期ゾーンの30年債入札に対する警戒感は強い。

T&Dアセットマネジメント債券運用部の浪岡宏チーフ・ストラテジスト兼ファンドマネジャーは、3日の10年債入札後の金利低下が進み過ぎた印象だとした上で、「最近の長いゾーンの入札はテール(落札価格の最低と平均の差)が拡大し、応札倍率の低さが気になる。30年債入札は慎重にみている」と話した。

債券

債券は下落。米国の長期金利上昇や30年国債入札に対する警戒感から売りが優勢だった。

岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは「30年債入札はふたを開けてみないと分からないため買いは手控えられている」と指摘。日本銀行のオペ結果で超長期ゾーンが弱めだったことが午後の相場の重しになったと述べた。

T&Dアセットの浪岡氏は、30年債入札が予想以上に弱い結果となれば「超長期債中心に金利が上振れし、長期金利も押し上げられる可能性がある」と話した。

日銀は国債の買い入れオペを実施した。対象は残存期間1年以下、1年超3年以下、3年超5年以下、10年超25年以下で、買い入れ額はいずれも前回オペから据え置いた。オペ結果では3年超5年以下や10年超25年以下などの応札倍率が上昇し、需給悪化を示した。

新発国債利回り(午後3時時点)

株式

株式は4営業日ぶりに反発。4月の米求人件数が予想外に増加して労働市場は堅調との見方が広がり、リスク選好の買いが入った。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平上席投資戦略研究員は、前日までの3日間で日経平均は1000円近く下げて買いが入りやすかったところに、底堅い米求人件数が発表されて反発と指摘。ただ、3万8000-4万円台は過去の滞留日数が最も多かった水準で、予想株価収益率(PER)も過去平均を上回るためここからの上昇余地は限られるとの見方を示した。

保険や証券といった金融株が高く、米エヌビディア株の上昇を好感して半導体関連株も上昇。原油高を受けて石油・石炭製品も買われた。個別銘柄では、トヨタ関連企業による株式公開買い付け(TOB)を公表した豊田自動織機が急落。TOB価格が市場予想を下回った。

フィリップ証券の笹木和弘リサーチ部長は、米中首脳の電話会談への期待から半導体に見直しの動きが出てきていると指摘。加えて、配当金が投資家に支払われて再投資に回り「需給面的には非常に良い形になっている」と述べた。

為替

円相場は1ドル=144円を挟んでもみ合い。米国市場の流れでリスク選好の円売り・ドル買いが先行した後、午後3時過ぎ、中国の習近平国家主席はタフな交渉相手だというトランプ米大統領の発言が報じられ、円は144円付近に下げ幅を縮小した。

三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは「米求人件数の増加を受けたドルの堅調地合いが続いている」と語る。次の注目材料として30年債入札を挙げ、「良好な結果になればドル・円は145円を上抜けて行く可能性がある」と言う。半面、前月の20年債、40年債同様、不調に終われば再び142円台までの下落も十分あり得るとみる。

ソニーフィナンシャルグループの石川久美子シニアアナリストは「米中首脳会談などの材料待ちで方向感は出ていない」と述べた。トランプ米大統領の発言に対する感応度が低下しており、ボラティリティーの低下が続けばドル・円は底堅く推移すると指摘。一方、米中交渉が難航すればリスク回避で再び142円台の可能性があり、週末公表の米雇用統計が弱ければ、利下げ観測が強まってドル売りが出やすいと話した。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:横山桃花.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.