(ブルームバーグ):ブルームバーグ・ドル・スポット指数は13日、この1カ月強で最大の下げを記録した。前日には米中貿易摩擦の緩和を受けて大きく上げたが、上昇の流れは続かないとの見方が市場に広がった。
同指数は0.7%低下し、オプション市場のポジションは引き続きドル売りに傾いた。米証券保管振替機関(DTCC)のデータによると、ドルに弱気なポジションは今週これまでに名目ベースで約610億ドル(約9兆円)相当に達し、ドルに強気なポジションの550億ドル相当を上回っている。
13日の取引終盤には、英ポンドが対ドルで1%高となり、オーストラリア・ドルやスウェーデン・クローナといったリスク選好通貨も急上昇した。
ドルは12日に1%高と、米大統領選以来最大の上昇を記録した。米国と中国が一定期間の関税引き下げで合意したことが意識された。米経済はリセッション(景気後退)入りを回避するとの期待が高まり、米利下げ観測が後退した。
みずほインターナショナルの欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域マクロ戦略部門責任者ジョーダン・ロチェスター氏は、ドルのショートポジションが「関税を巡る米中対立緩和のニュースで不意を突かれた」と語った。
匿名を条件に語った為替トレーダーによると、ヘッジファンドはドルのショートポジションを縮小した。一方、現物でもオプションでも新たなドル買いの需要は乏しかったという。

12日には、米中合意は全面的な関税戦争の終結を意味するとの楽観的な見方が広がり、円やスイス・フランなど安全とされる通貨が大きく売られた。一方で、ユーロや人民元、ノルウェー・クローネのオプションはドル売りに強く傾いており、取引の約3分の2はドル安再開に賭けるものだった。
13日時点で楽観論は既に後退し、多くの企業はドル安が続くとの見方を強めた。ドイツ銀行の為替戦略グローバル責任者ジョージ・サラベロス氏はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、米国の政策がより「融和的な方向」に進んでいるとしても、実需の投資家や中央銀行は米資産に投資が「集中しているリスク」をなお懸念していると語った。
これに先立ち同氏は「ここ数週間のニュースは、米国より他国・地域に有利に働いており、成長に敏感な通貨などに対してドルを押し下げている」とリポートで分析していた。

原題:Dollar’s Big Bounce Meets a Wall of Doubt in Options Market (3)(抜粋)
--取材協力:Naomi Tajitsu、Carter Johnson.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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