米下院エネルギー・商業委員会が州による人工知能(AI)規制を10年間禁止する条項を包括的な税制・歳出法案の草案に盛り込んだ。成立すれば米国のテクノロジー大手やAI企業の多くに恩恵が及ぶ見込みだ。

オープンAIやメタ・プラットフォームズ、アルファベット傘下グーグルなどは、州レベルでAI規制が導入されれば技術の発展が妨げられると主張してきた。メタは4月にホワイトハウスに提出した意見書で、州が規制を行えばAI企業のコンプライアンス(法令順守)コストが増大すると指摘していた。

同委が13日に審議する予定の草案は「AIモデルやAIシステム、自動意思決定システムに関するあらゆる法律・規則」の制定を10年間禁止する内容。同案のテキストは11日に公表された。

ただ、この条項が最終的に法案に残る可能性は低い。共和党は民主党のフィリバスター(議事妨害)を避けるため、今回の税制法案を財政調整措置で成立させようとしているが、この手続きでは、盛り込まれる条項が「財政に関係する」ことが条件とされている。

とはいえ、AI企業幹部が州のAI規制を禁止する連邦法制定を議会に求めてからわずか1カ月でこの条項が盛り込まれたことは、共和党指導部の後押しがあったことを裏付けている。

一方、AIの安全性を求める団体やハイテク大手に批判的な識者は今回の条項が法制化されれば、安全かつ倫理的なAI活用を目指す州政府の取り組みを阻害する恐れがあると警告している。

原題:State AI Regulation Ban Tucked Into Republican Tax, Fiscal Bill(抜粋)

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