(ブルームバーグ):メキシコで寄生虫「新世界ラセンウジバエ」による被害が拡大していることを受け、米国は南部国境の通関地を経由する牛や馬、バイソンの生体輸入を停止すると発表した。
ラセンウジバエは家畜などの傷に卵を産む寄生虫。その幼虫は生体組織を食べて成長する。新世界ラセンウジバエは主に中南米に分布する。
米農務省の11日の発表文によると、ロリンズ農務長官はこの措置は即時発効すると述べた上で、この害虫の北上が看過できない段階に達しており、さらなる封じ込め策が必要だと表明。
家畜を守ることは「最も重要な国家安全保障上の課題」であり、今回の措置は「政治的なものでも、メキシコへの制裁でもなく、食品の安全と動物衛生の確保のためのものだ」と説明した。
ラセンウジバエは家畜や野生動物に甚大な被害を与える。米国はメキシコなどと連携して不妊化した成虫を大量に放す防除プログラムを実施し、1980年代に米国全土で根絶を達成していた。
しかし米農務省によれば、2023年にパナマで確認された被害件数が6500件余りと、それ以前の年平均25件から急増。以後、コスタリカやニカラグア、ホンジュラス、グアテマラ、ベリーズ、エルサルバドル、メキシコへと被害が広がった。
米国の畜産業者は新世界ラセンウジバエが米国に再び侵入する可能性を懸念している。米農務省によると、米国とメキシコは2週間後に輸入停止措置の見直しを行う予定だが、被害拡大がかなりの程度封じ込まれるまでは月単位で延長される見通し。
メキシコのベルデゲ農業・農村開発相はX(旧ツイッター)への投稿で、政府として今回の措置に同意しかねるが、近く合意できると考えていると述べた。
原題:US Halts Cattle Imports Via Southern Border Over Screwworm Pest(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.