米国と中国がスイスのジュネーブで11日まで行った行った貿易協議は「著しい進展」(ベッセント米財務長官)があったとされる。ただ、これまでのところ詳細には乏しく、金融市場はそれが実際の行動につながるか見極めることになる。

ベッセント氏とグリア米通商代表部(USTR)代表は2日間の協議終了後、スイス時間12日午前に詳細を発表することを明らかにした。グリア氏は「見解の相違は考えられていたほど大きくなかったのかもしれない」と表明した。

中国当局者も別途、両国関係にとって「健全で持続可能な展開」があったと、協議の成果について同様の認識を示した。

ペッパーストーン・グループの上級調査ストラテジスト、マイケル・ブラウン氏は「協議決裂の最悪のシナリオは回避され、一定の進展があったと見受けられる」と指摘した。

その上で、「協議に先立ち高リスクのポジションを減らしていた市場参加者は、こうしたポジションの再構築に多少の安心を感じる公算が大きく、少なくとも何らかの条件反射的リスクオンの動きが想定される」と話した。

ただ、「そうは言っても、詳細が明らかになるまでは確信を欠いた状態が見込まれ、現時点では答えよりも質問の方が多い」との分析を示した。

オーストラリアおよびアジア時間12日早くの外国為替市場では、ユーロと円が対ドルで軟調。オフショア人民元は小幅高となっている。

トランプ大統領が「解放の日」と呼んだ4月2日に広範にわたる関税措置を発表後、上乗せ税率の90日間停止を打ち出したことなどで、市場の痛手は大幅に和らいだ。しかし投資家の間では、勇気づけられる発言だけでは飽き足らず、米中間などで関税率引き下げのための具体的な発表があるまで、大口ポジションの構築に慎重ムードが続く可能性が大きい。

クレディ・アグリコルCIBのG10為替調査・戦略責任者、バレンティン・マリノフ氏は「貿易・経済面および地政学上の緊張緩和があれば市場のリスクセンチメントは改善するだろう」と指摘。「最新の展開はリスク相関資産・通貨にプラスとなる一方、円やスイス・フランなどの安全資産通貨、さらにはユーロにとっても打撃となりそうだ」とコメントした。

原題:Markets to Decide if Words are Enough After US-China Trade Talks(抜粋)

--取材協力:Matthew Burgess、Michael G Wilson.

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