パナソニックホールディングスは9日、2026年3月期-27年3月期にかけて連結対象会社で1万人規模の人員削減を行うと発表した。国内で5000人規模、海外で5000人規模をそれぞれ想定している。

同社の資料によると、グループ各社で営業部門や間接部門を中心に業務効率の徹底的な見直しを行い、必要な組織・人員数を再設計する。収益改善が見通せない赤字事業については撤退や拠点の統廃合も進める。希望退職なども実施する考えだ。

大規模な人員削減からは、同社の現状への危機感と構造改革への覚悟が浮かび上がる。今年2月に発表したグループ経営計画では、29年3月期に調整後営業利益率10%以上を目指す方針を掲げたが、前期(25年3月期)時点で5.5%と目標にはほど遠い。

楠見雄規社長は説明会で、社員らに対して今回の決断は「本当に申し訳なく思っている」と話した。その上で、再び成長に転じるには同業他社と比べて極めて高い固定費構造に大きくメスを入れる必要があると強調。「ここで経営基盤を変えなければ10年後、20年後にわたって会社を持続的に成長させていくことはできない」と述べた。

テレビ事業については、パートナーとの協業で収益を改善してきたが、さらなる収益改善が求められているとし、「協業関係を一層進化させていくことも含め、いろいろな可能性について検討している」と述べた。

同社のウェブサイトによると、グループ全体の従業員数は24年3月末時点で22万8420人。1万人の削減は全体の約4.4%に相当する。

電池がけん引

同社はグループ経営改革に伴う構造改革費用1300億円を計上するため、今期に営業利益として前期比13%減の3700億円を計画。ブルームバーグの市場予想(4388億円)を下回る。米国による追加関税の影響は現時点で織り込んでいない。

事業別で今期最大の営業利益を見込むのがエナジー事業だ。楠見氏は米トランプ大統領が進める関税政策の方向性が不透明な中でも、主要顧客の1-3月期は「デマンドが全然落ちてない」と述べた。

また、個人的な推測と断った上で関税政策を引き合いにしながら、中国メーカーの電池を使った電気自動車を米国内で生産することは難しく、「今後1年、それほど主要顧客からのデマンドが落ちることはないのではないか」との見方を示した。ブルームバーグのデータによると、同社は米テスラに車載電池を供給している。

(会見内容などを追加します)

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