(ブルームバーグ):台湾積体電路製造(TSMC)が生産した人工知能(AI)向け半導体が米国の制裁対象となっている中国の華為技術(ファーウェイ)に渡っていた問題で、TSMCは年次報告書で顧客による輸出規制順守を確保する難しさに言及した。
18日公表の年次報告書は「半導体供給チェーンにおける自社の役割を踏まえれば、TSMCが製造した半導体を組み込んだ最終製品の下流での用途やユーザーに関する情報には本質的な限界がある」と指摘。
こうした制約が半導体の意図しない用途や、制裁回避を意図したビジネスパートナーや第三者による出荷の転用を防ぐ能力を妨げているとの見方を示した。
半導体受託生産最大手のTSMCは、米国のアップルやエヌビディアなどに先端半導体を供給。TSMCは輸出規制の順守に最大限努めているものの、順守違反が見つからない「保証はない」とも明らかにした。
カナダの調査会社テックインサイツが昨年実施した調査によれば、TSMC製品がファーウェイのAI半導体「Ascend 910B」に含まれていたことが判明。TSMCはこの事実を確認後、特定顧客への製品出荷を停止していた。
同社は報告書でこの事案にも触れ、特定の顧客向けに製造した半導体が制限対象の企業に流出した可能性があるとして、昨年10月に米国および台湾の当局に通報したと説明した。当局からの追加情報や資料提供の要請に協力しているという。
21日の台湾株式市場で、TSMCの株価は1.8%安で引けた。
原題:TSMC Warns of Limits of Ability to Keep Its AI Chips From China、TSMC Shares Fall on China Chip Warning, Arizona Unit Loss (1)(抜粋)
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