(ブルームバーグ):米ダラス連銀のエコノミストはトランプ大統領が推し進める移民取り締まり強化策について、多くの経済学者が予想する以上に米経済成長を抑制する恐れがあると指摘した。
労働経済学を専門とする同連銀エコノミストのピア・オレニウス氏の最新予測によると、現在のペースで摘発・強制送還が続けば今年の米国内総生産(GDP)伸び率は1ポイント押し下げられ、インフレ率は約0.3ポイント上振れする見込み。さらに強制送還の対象が大幅に拡大すれば2026年の成長率は2ポイント下振れし、景気低迷は少なくとも28年まで続くとした。
同氏はダラス連銀でのプレゼンテーションで、「結論から言えば、米経済に悪影響が及ぶだろう」と語った。
一方、ゴールドマン・サックス・グループは移民の減少により今年の米GDP伸び率が最大で0.4ポイント押し下げられる公算が大きいと推計。ブルッキングズ研究所のハミルトン・プロジェクトも押し下げ幅を最大で0.4ポイントとみている。
ダラス連銀モデルは、1日当たり約640人の不法移民が摘発・拘束され、全員が強制送還されると想定している。一段と厳しい予測では、28年までに強制送還は1日当たり3000人、年間で100万人強に達するとされる。
今年に入って3月22日までに米移民・税関捜査局(ICE)での拘束後に強制送還された不法移民は約3万7000人。これは1日当たり約450人に相当する。
オレニウス氏は、強制送還が経済に打撃を与えるのはもちろんだが、経済成長を最も阻害するのは米労働力に加わろうとする移民の流入鈍化だろうと指摘した。
原題:Dallas Fed Economist Sees Migrant Crackdown Hitting GDP, Prices(抜粋)
--取材協力:Alicia A. Caldwell.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.