ウォール街で人気のオプション取引の一つが、トランプ米大統領による相場変動を誘発する政策とロビンフッド・マーケッツによる商品提供拡大を受け、かつてないほど人気化している。

CBOEグローバル・マーケッツの集計データによると、S&P500種株価指数のオプション取引のうち、24時間以内に期限切れとなる「ゼロ・デー・オプション(ゼロDTE=ゼロ・デー・トゥー・エクスピレーション)」は先月、全体の56%に上り、過去最高の割合に達した。

ゼロDTEの需要が今年に入ってから増加している背景には、米経済に軟化の兆しが見える状況でトランプ政権の予測不可能な通商政策が市場に打撃を与えたことがある。1-2月にS&P500種が1日当たり少なくとも0.5%の反転を記録した日は8営業日あった。

こうした相場の乱高下を受け、大小さまざまな投資家がゼロDTEに殺到し、素早い利益獲得や相場急変のヘッジの手段として活用。オンライン証券会社ロビンフッドは需要の高まりに対応し、1月にゼロDTEの提供対象をより幅広い顧客に拡大した。

CBOEグローバル・マーケッツのデリバティブ市場情報部門責任者のマンディ・シュ氏は「ゼロDTEの取引高急増は、日中変動率の高まりも一因だが、主にアクセス拡大の結果であり、ロビンフッドが全顧客を対象に指数オプション取引を展開したことが要因だ」と分析した。

 

2月28日にはゼロDTE需要に弾みをつける市場力学が垣間見られた。トレーダーが個人消費支出の落ち込みを消化し、トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の会談が激しい口論に発展するのを見守る中、S&P500種はおおむね一進一退の値動きが続いたが、ベッセント米財務長官がメキシコから米国の対中関税に合わせることを提案されたと明らかにし、カナダにも同様の対応を促す考えを表明。株価は反発しS&P500種は1.6%上昇して取引を終えた。

デリバティブ(金融派生商品)分析会社Asym 500によると、28日の相場変動の中でS&P500種のゼロDTEの売買は想定元本で1兆4000億ドル(約209兆円)に上り、1週間前に記録した過去最高にあと一歩に迫った。

原題:Zero-Day Options Trading Hits Record on Trump Turmoil, Robinhood(抜粋)

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