約2年のブランクを経て、米国のオフィスを裏付けとする商業用不動産担保証券(CMBS)に投資マネーが回帰してきた。築年数が経過し知名度の低いビルの先行きは引き続き不透明なものの、ニューヨーク市の高層ビルのリファイナンスに大規模な資金が投じられている。

シーグラム・ビルディングやメットライフ・ビルディングといったマンハッタンの立地の良い優良オフィス物件の所有者が今年に入り、CMBSを大量に発行している。昨年10-12月(第4四半期)に、ロックフェラー・センターを裏付け資産とする34億ドル(約5100億円)規模のCMBSが発行されたが、勢いは加速している。

過去2年間、こうした証券はほとんど発行されていなかったが、投資家は2月、米オフィスのみを裏付け資産とする証券に45億ドル余りを投じた。これは、少なくとも過去5年で最大規模となる。

ドイツ銀行によれば、3カ月平均に基づくと、2月は米オフィスを裏付けとする証券の発行額が単一資産のCMBS全体の35%を占めた。2021年以来最大のシェアだ。

供給増に伴い、投資家の関心は上向いている。ブルームバーグ・ニュースのデータによると、CMBSではリスクが比較的高い区分のプレミアムが急速に縮小している。昨年のロックフェラー関連のディールが325ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)だったのに対し、2月のシーグラム・ビルディングは200bpを下回った。

 

ただ市場の活気は、一部の上級の物件におおむね限られている。「クラスB」や「クラスC」の物件にひも付いた証券への需要は少ない。「クラスB」「クラスC」のオフィスは、老朽化し派手さはなく機能的で、人通りの多い道から外れ、主要交通ハブから離れている可能性がある。

シーグラム・ビルディング

マッケイ・シールズのポートフォリオ・マネジャー、ザカリー・アロンソン氏は、「オフィス市場は、恵まれた物件と恵まれていない物件に分かれいる」と指摘。「立地条件の良くない物件中心に古めのオフィスは苦境が続く一方、投資家は多くの設備を備えた新しいビルを裏付けとする証券の購入に意欲的だ」と説明した。

原題:Investors Pile Back Into Bonds Tied to NYC Office Buildings(抜粋)

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