(ブルームバーグ):3日の日本市場は株式が大幅反発。米国のインフレ指標が低い伸びにとどまり米国株が上昇したことや、為替の円高一服が好感された。債券は売られ、新発30年債利回りは一時2.365%と2008年以来の高水準を付けた。為替は円が対ドルで下落後上昇に転じた。
2月28日に発表された1月の米個人消費支出(PCE)統計でコア価格指数が前年同月比2.6%上昇と、21年早期以来の低い伸びに並んだ。金融市場では6月までの0.25ポイント利下げがほぼ100%織り込まれ、米長期金利は4.21%程度と前日比5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。米株価も大きく反発した。
インベスコ・アセット・マネジメントの木下智グローバル・マーケット・ストラテジストは、為替は株式市場にとって「大きなプラス要因だ」と指摘。「先週はトランプ政権の追加関税の悪影響がかなり大きく不透明感をもたらしたが、米国株が週末に戻ったことが日本の市場を支えている」と話していた。
株式
株式は大幅反発し、東証33業種は全て値上がりした。自動車や機械などの輸出企業が円安傾向に後押しされ、トヨタ自動車がTOPIXの上昇に最も寄与した。米金融株高が追い風となり保険や証券株も上げが大きかった。
33業種の上昇率1位はサービス。自社株買いを発表したリクルートホールディングスがけん引した。このほか、欧州がウクライナ支援で防衛費を増やすとの期待から三菱重工業など防衛関連株が大幅高。イオンモールの完全子会社化に向けた協議を開始すると発表したイオンも上昇した。
債券
債券は下落。日本銀行の利上げ観測が根強い中、米長期金利が時間外取引で上昇し売りが優勢だった。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは、前週末に株価が大きく下落しリスク回避で債券が買われた反動に加え、ドイツの債券先物が売られるなど、グローバルな長期金利上昇が嫌気されたと指摘した。
日銀の利上げ観測がくすぶる中、4日に10年国債入札、5日に内田真一日銀副総裁の講演、6日に春闘の要求集計結果と「警戒すべきイベントが続くため、週初は投資家の様子見姿勢が強まりやすい」と同氏は述べた。
新発国債利回り(午後3時時点)
為替
円相場は一時対ドルで151円02銭と2月20日以来の安値を付けた後、上昇に転じ150円台前半で推移。あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、前週末に月末のドル需要があったため、きょうの仲値で円転換する動きが出ている可能性があると語った。
トランプ米大統領は近く、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を賦課するとともに、中国からの輸入品への関税率を20%と現在の2倍にする構えだ。三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長は、トランプ政権の関税発動を控えてリスクオフムードになりやすいと話した上で、「クロス円の下落を伴う円買いに警戒が必要だ」と述べた。
欧州首脳が停戦後のウクライナの安全保障へ有志連合を結成する見通しとなり、米国とウクライナの首脳会談決裂で前週末の海外市場で売られたユーロが買い戻された。円は対ユーロで一時157円31銭と、2月25日以来の安値を付けた。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:山中英典、アリス・フレンチ.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.