日本銀行は3日、新任の理事に企画局長を務めていた正木一博氏を充てる同日付の人事を発表した。加藤勝信財務相が任命した。任期は4年。理事の担当も変更され、正木氏は大阪支店長に就き、同支店長の神山一成氏は金融機構局、決済機構局(決済システム課)、発券局を担当する。

正木氏は任期満了で2日に退任した高口博英氏の後任。大阪府出身で、1991年に東京大学法学部を卒業し、日銀に入行。金融政策の企画・立案を担う企画局中心に歩んだ。企画局長として2023年7月の就任から約1年半で、17年ぶりの利上げによって大規模緩和に終止符を打ち、2度の追加利上げで政策金利を0.5%程度に引き上げて政策正常化の道筋をつけた。

後任の企画局長には、総務人事局長の奥野聡雄氏が3日付で就任した。同氏は1993年に東大法学部を卒業し、日銀に入行。2017年から2年間、企画局の政策企画課長を務めた。総務人事局長に金融市場局長の藤田研二氏が、金融市場局長には政策委員会室秘書役の峯岸誠氏がそれぞれ就いた。

日銀は引き続き、経済・物価見通しが実現すれば利上げで緩和度合いを調整していく方針を示している。政策金利が0.5%を超えれば、新日銀法施行前の1995年以来、30年ぶりの高水準だ。植田和男総裁が進める政策正常化路線の次のステップは、新たな企画ラインの布陣で臨むことになる。

金融機構局などを担当する神山氏は、2013年の政府と日銀の共同声明の作成や黒田東彦前総裁による異次元緩和の導入に政策企画課長として奔走した。14年から15年に金融機構局の総務課長を務め、20年から23年には決済機構局長として中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実証実験などを主導した。

利上げに伴う経済や金融環境、金融システムへの影響に一段と目を配ることが求められており、神山氏が担当する金融機構局の役割もさらに重要性を増す。日銀が1月に公表した昨年12月の金融政策決定会合の議事要旨によると、金融機構局の理事と局長の会合出席について、これまでの年4回から全会合(年8回)とすることが適当との認識で政策委員が一致した。

(局長人事を追加して更新しました)

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