(ブルームバーグ):米アマゾン・ドット・コムは26日、人工知能(AI)を搭載した新たな音声アシスタント「アレクサ」を発表した。10年余り前のデビュー後で最大の刷新となる。
新型デバイス部門のトップを務めるパノス・パネイ氏はニューヨークで開催されたイベントで、アマゾンは常にアレクサに対して野心的なビジョンを描いてきたが、これまでは技術的な限界があったと説明。担当チームが「アレクサのすべて」を設計し直したと述べた。同氏はかつて、マイクロソフトでサーフェスの責任者を務めていた。
デモ動画では、アレクサがコンサートのチケットやレストランを予約したり、ベビーシッターにメールを送ったりする様子が映し出された。パナイ氏はライブ会話とする実演で、流れるような会話のやりとりを披露。アレクサとのぎこちない、単発の質問のやりとりという従来のユーザー体験から大きく改善した格好だ。
アレクサ搭載のスマートスピーカー「エコー」は2010年代後半に大きな人気を集めた。アマゾンは多数のデバイスを投入し、アレクサ経由でネット購入が増えることを目指した。だが、その試みはほぼ失敗に終わり、期待していたほど大きな代替の収益源には育たなかった経緯がある。マイクロソフトとパネイ氏にとって今回の刷新は、アレクサの復活を実現できるかどうかの試金石となる。
新アレクサの発表は当初の計画から約1年遅れた。背景には、ソフトウエアをうまくAI時代に適応できずにいたことがある。従来のソフトはその場で回答を生成するのではなく、事前に作成された回答をデータベースから取得するように設計されていたためだ。社内テストでは、AIへの移行でアレクサ搭載のデバイスの一部が作動しなくなるなどのトラブルが生じた。
この新たな「アレクサプラス」はエコーやスマートフォンのアプリなどを通じて利用でき、米国での料金は月額19.99ドル。だが、年間139ドルの「プライム」有料会員には無料で提供される。
ウーバーやオープンテーブルなどの一部の提携アプリはアレクサに組み込まれる見通し。だが、新たなソフトウエアでは、AIエージェントとして単独でウェブを閲覧し、家電修理の予約をするといった作業もこなせるという。「われわれはチャットボットから全く新しいものへと世界を移行させている」とパネイ氏は語った。
原題:Amazon Unveils Long-Awaited AI Version of Alexa Assistant (1)
(料金など最後の2段落を追加して更新します)
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