ウォーレン・バフェット氏率いる米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイが22日発表した2024年10-12月(第4四半期)決算では、営業利益が71%増加した。金利上昇により同社の投資収益が増加し、保険事業も改善した。

発表資料によると、10-12月期営業利益は145億ドル(約2兆1600億円)。金利上昇を背景に保険投資収益が48%増え41億ドルに達したことが寄与した。

保険引き受け事業の大幅な回復も追い風で、同事業の営業利益は同期間に4倍の34億ドルに上った。

自動車保険のガイコはバークシャーの保険事業の業績に大きく貢献。24年の税引き前の引受利益は2倍強の78億ドルに達した。

バークシャーは、ロサンゼルスを先月襲った山火事による税引き前損失が約13億ドルに上る見通しも明らかにした。

増加する手元現金

バフェット氏は10ー12月期に大規模な株取引は控えたため、バークシャーの手元現金は10四半期連続で増加し、24年末には過去最高の3342億ドルに達した。10ー12月期の同社の株売買は67億ドル相当の売り越しとなった。

バフェット氏は株主宛ての年次書簡で、バークシャーの手元現金の積み上がりへの懸念に言及し、同社の資金の大部分は依然として株式に投資されており、今後もその方針に変更はないと説明。「バークシャーは経営支配権の有無に関わらず、優良企業の所有よりも現金同等資産の所有を優先することはない」と述べた。

バフェット氏は、バークシャーのプライベートエクイティ(未公開株)保有の価値が増加し、昨年は「市場性のあるポートフォリオの価値をはるかに上回る」状態が続いたと述べた。同期間に、バークシャーの公開株の保有額は23%減少し、2720億ドルとなった。

同氏はまた、日本の商社株の保有を「時間をかけて」増やす可能性が高いとの見方も示した。

納税額

バフェット氏は書簡で、自身が60年前にバークシャーの経営権を取得して以来、米政府に1010億ドル以上の税金を支払っており、歴史上どの企業よりも多いと指摘した。

24年だけでも納税額は268億ドルに上った。バフェット氏は「記録破り」のこの数字について、米企業が昨年支払った税金総額のおよそ5%に相当し、州税や外国政府に支払った税金は含まれていないと付け加えた。

バークシャーの昨年の納税額は、その前5年間の納税額合計を上回った。同社保有株のうち最大の2銘柄であるアップルとバンク・オブ・アメリカ(BofA)を昨年にかなり売却したことが一因だとエドワード・ジョーンズのアナリスト、ジム・シャナハン氏は分析した。

バフェット氏は書簡で米政府にも言及。税金を「賢く使いなさい。何の落ち度もないのに人生で不運な目に遭う多くの人々の面倒を見てほしい。彼らにはもっとふさわしいものがある」と述べた。

このコメントについてCFRAのアナリスト、キャシー・サイファート氏は、現在の政治環境に対する「微妙ながら重要な一撃」だと述べた。

トランプ大統領は1期目の2017年に法人税を21%に引き下げた後、さらに法人税を削減すると公約。税率を15%に引き下げたい意向。

原題:Berkshire’s Operating Profit Jumps on Insurance, Rates Boost (3)(抜粋)

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