フランスで13日、ベテラン中道派政治家のフランソワ・バイル氏(73)が首相に就任した。同氏は過去1年で4人目の首相となる。

マクロン大統領は長年の盟友でもあるバイル氏とパリのエリゼ宮で2時間近く会談。同氏に厳しい政治情勢のかじ取りを託した。

国民議会(下院)最多議席を持つ極右政党・国民連合(RN)を事実上率いるマリーヌ・ルペン氏が左派連合と手を組みバルニエ内閣を倒したため、バイル氏がその後を引き継ぐ。

同じ運命をたどるのを避けるため、バイル氏は早急に予算案を作成し直し、分裂した議会の一角から少なくとも暗黙の支持を得られる内容にする必要がある。

バイル氏は「誰もがこの任務の困難さを理解している。一方で、人々を分断するのではなく、団結する道を見出すことができると誰もが考えていると思う」と記者団に語り、野党との融和が必要との認識を示していた。

バイル氏指名後、ルペン氏はX(旧ツイッター)で、「マクロン主義の延長に過ぎない政策はみな、行き詰まりや挫折につながるだけだ」と述べ、バイル氏がRNと協力し、提案を予算案に盛り込むべきだと主張した。

投資家は展開を注視している。数カ月にわたる政治的混乱と不確実性によりフランス資産が売られ、フランス国債利回りがギリシャ国債に並んだことすらあった。

マクロン氏が6月に下院を解散したことにより、下院は左派の新人民戦線、マクロン氏を支持する中道派、ルペン氏率いる国民連合という3つのブロックに分裂した。

バイル氏は、2002年から3回連続して大統領選に立候補した。17年にはルペン氏の支持率が上昇する中、大統領選から撤退しマクロン氏の支持に回った。

首相としてのバイル氏の成功の鍵は、不信任案を可決できる多数派が形成されないよう、中道左派と中道右派の両方から支持を集めることだ。

そのためには、新人民戦線を分裂させ、ジャンリュック・メランション氏の極左政党「不屈のフランス」との同盟から、より穏健な社会党を引き離す必要がある。

社会党はバイル氏の指名を受け、速やかに議会内の各政党の代表と会談し、法案の採決を回避する憲法の特別規定を発動しない約束を求める公開書簡を発表した。バルニエ氏は予算案通過のためにこの規定を発動し、内閣不信任で総辞職に追い込まれた。

バイル氏の最初の仕事は、閣僚を指名した後、来年1月1日に政府機関が閉鎖されるのを回避するため、徴税と最低限の支出を行うことを可能にする特別法を成立させることだ。野党グループは緊急立法を支持するとしている。

その後、バルニエ氏の失脚により頓挫した2025年の予算案の議会通過を図ることになる。

当初の予算案は、フランスの財政赤字を今年の6.1%から5%に引き下げるために、増税と歳出削減を組み合わせた600億ユーロ(約9兆7000億円)規模の調整を目指していた。

原題:Macron Names Centrist Bayrou as France’s New Prime Minister (3)

Macron Hands Poisoned Chalice to New Centrist French Premier (1)

(抜粋)

(見出しを書き換え、第1-2段落を更新します)

--取材協力:Alice Gledhill、James Regan.

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