多くの韓国人にとってこの1週間の劇的な出来事は、自国の軍事独裁の歴史を初めて実体験するものとなった。この混乱を理解しようと数百万人が、昨年ヒットした映画「ソウルの春」をネットフリックスで視聴し、文学作品にも注目した。

2023年に公開され1300万人の観客を動員した「ソウルの春」(邦題)は、尹錫悦大統領が「非常戒厳」を宣布して国中を驚かせた12月3日以降、米動画配信サービスのネットフリックスで視聴された韓国映画で首位の座を維持している。5月から配信されているこの141分の大ヒット作品は、1979年12月12日のクーデター事件を描いている。

尹大統領が3日夜に下した決断は、のちに大統領に就任した全斗煥陸軍少将が主導した粛軍クーデターと、民主化運動を弾圧した1980年の光州事件という流血の事態に至った記憶を再び呼び起こしており、韓国では今もその余波が続いている。

この映画は、今年のノーベル文学賞受賞者ハン・ガン氏が2014年に同じテーマで発表した小説とともに、韓国の暗い歴史の一面を全ての世代に紹介するものとなり、3日夜に韓国国民を奮い立たせる一助となったとされる。非常戒厳の宣布後、厳しい寒さをものともせずに数百人がソウルの街頭に繰り出し、大統領は数時間で前言を撤回した。

言論統制と暴力が社会全体を一変させた様子を描いたハン氏の小説「少年が来る」は、10月に同氏のノーベル文学賞受賞が発表されると、再びベストセラーリストに返り咲いた。

ハン氏は授賞式を前にスウェーデンの首都ストックホルムで6日に開かれた記者会見で、40年の時を経て再び戒厳令が敷かれたのを見てショックを受けたと語り、「報道を抑えようとして暴力や抑圧が用いられることがないよう願っている」と述べた。

映画と同様に、この小説もまた、国内のソーシャルメディアで話題のトピックを独占。両作品名は3日以降、インターネット上で急速に広がっている。「私たちは今、ソウルの春を実体験しているのだろうか?」とあるユーザーはX(旧ツイッター)に投稿した。

原題:Coup Film Tops Netflix After Korea Martial Law Chaos (1)(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2024 Bloomberg L.P.