米ユナイテッドヘルス・グループの経営幹部ブライアン・トンプソン氏がニューヨークで射殺された事件は、医療保険業界が高額な医療費をカバーせず、必要な治療を妨げていることがあまりにも多いと主張する米国人の深い憤りを顕在化した。

「ソーシャルメディアには、業界に対する強い不満と不信感が如実に表れている」と、コンサルティング会社ヘルスケア・パフォーマンスのブライアン・クレッパー社長は語る。「業界が繁栄していく上で健全な環境ではない」。

投資家向け説明会開催のホテルの外で起きた銃撃事件に対する反応は、利益や株価がここ数年好調な企業に対する警鐘だ。ソーシャルメディアは、医療保険会社に対し多くの米国人が抱く不満を増幅させる手段となっている。

トンプソン氏の死亡を受け、X(旧ツイッター)やレディット、TikTokなどのプラットフォームには医療保険業界に対する憎悪のコメントが続々と寄せられた。

犯行現場で捜査する警官(12月4日)

銃撃事件についてXに投稿したフロリダ大学のケビン・ファーマー教授(整形外科・スポーツ医学)は、保険に対する不満は医師が日々、目の当たりにしているとし、「どうしようもないと感じている」と指摘した。

トンプソン氏殺害の動機はまだ分からない。ニューヨーク市警は5日、銃撃事件に絡む容疑者の男の画像を公開。男が滞在していたとみられるマンハッタンの宿泊施設を捜索した。

原題:UnitedHealth Shooting Dredges Up Deep Enmity at Health Insurers(抜粋)

--取材協力:John Lauerman、Antonia Mufarech、Robert Langreth.

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