ベーカリーの食品ロス対策(2)「再利用」

渡辺さん:
ちぎって冷凍しておいて「クラム」代わりに使う。

クラムはスポンジ生地などを砕いてつくるケーキ版のパン粉です。

渡辺さん:
生地にクラムを乗せてカスタードとリンゴのシナモン漬けを入れて焼き上げるクラムが水分を吸収する重要な役割を果たしている。

こうして出来上がったのが、「ポンム」です。

武藤裕美記者:
薄く切った一切れでも、かなり重量感があります。ケーキクラムに使われているパンは、リンゴのシロップやクリームをたっぷり吸って、しっとりとしています。パンが生まれ変わったとは思えない、新たなおいしさを感じます。

さらに…

ベーカリーの食品ロス対策(3)「食材の活用」

サンドイッチの具材で余ったトマトはカレーパンのソースに活用し食材を無駄にしない努力をしています。

渡辺さん:
無駄のない、もったいない精神から再度調理することで生まれ変わって、お客様に喜んでもらう形にしている。

こうした取り組みは消費者の共感を得ています。

買い物客は:
「すごく共感する、物を大事に知っていくことが大事」
「素晴らしい取り組みだと思う、(対策を)聞くとそちらの方のパン店を選ぼうと思う」

高い意識で食品ロス削減に取り組む「きららベーカリー」

実は、障害者の就労を支援する福祉施設です。

現在の利用者は19人で、緻密さが求められる小麦粉などの計量や石窯でのピザ焼き作業、店頭での接客など様々な場面で活躍しています。

施設の利用者 山本麻貴さん:
接客をしている時が一番楽しい。「とてもおいしいよ」と言ってもらうのを糧にして毎日笑顔で接客している。

高品質なパンの提供を目指すことが経営の安定や利用者の成長といった好循環を生んでいるといいます。

きららベーカリーを運営 ぎんが工房 内藤和恵施設長:
利用者が一つ一つ時間をかけてでも習得する技術、それが自立した生活にもつながっていく。なおかつお客さんがおいしいねと言ってくれる、それがやりがいにつながっていく。

地域に愛される街のベーカリー。

食品ロスの取り組みの源は食材も人材も大切にするあたたかい思いにあると言えそうです。