2023年は関東大震災から100年です。
全国各地で地震災害が相次ぐ中、防災について考えます。

1923年9月1日、山梨や東京、神奈川など関東の広い範囲で当時の震度階級で最も強い震度6の揺れを観測し、10万人を超える死者・行方不明者が出ました。
関東大震災です。

山梨県でも死者20人、1700棟以上の家屋が全壊する大きな被害が出ました。

あれから100年。

東日本大震災や熊本地震など日本列島は大きな被害に見舞われ、今年に入ってからも、石川や千葉など全国各地で地震災害が相次いでいます。

防災の専門家で山梨大学の地域防災・マネジメント研究センターの秦康範准教授は、県内でも巨大地震に注意が必要だと話します。

山梨大学 地域防災・マネジメント研究センター 秦康範 准教授:
西の方には糸魚川―静岡構造線断層帯が走り、甲府盆地の南側には曽根丘陵断層帯もあり、これらが動けばマグニチュード7クラスの地震が想定される。甲府盆地の真下で大きな地震が起きるということで、大きな災害が起こり得る。

政府は南海トラフ沿いを震源とする巨大地震について、30年以内の発生確率が70%から80%と計算し、死者は全国で32万3000人に上るという被害想定をまとめています。

秦准教授は、地震が起きた場合でも、自宅が被災していなければ自宅に留まる在宅避難を呼びかけています。

秦 准教授:
避難所が快適かと言われると、快適な場所ではない。自宅で避難できれば一番望ましい。本人にとっても快適で、在宅避難が望ましい。

そこで欠かせないのが、水や食料などの備蓄です。

水は1人あたり1日2L、1週間分の備蓄が望ましいとしています。

秦 准教授:
食料はローリングストックが提唱されている。インスタントラーメンとかレトルトカレーとか、食べたものから買い足していく、普段食べ慣れているものを備蓄として使うという考え方。自分が食べたいものが食べられるので、災害のとき不安になるが安心もできる。

このほか電気やガスが停まった時に備え、カセットコンロや携帯トイレ、充電式のモバイルバッテリーなども用意する必要があります。

東京消防庁によりますと、地震によるけがの原因の3割から5割が家具類の転倒や落下で、自宅でも家具の転倒防止が必要となります。

有効なのが突っ張り棒ですが、手前に設置すると全く効果がないといいます。

秦 准教授:
家具は転倒するときに回転する。回転するときは奥は上がって手前は下がる。突っ張り棒が手前にあると、家具は下がろうとするので簡単に効果を失う。奥につけると家具は上がろうとするので、突っ張り棒が有効に機能する。

さらに注意が必要なのが…

地震による停電が復旧した際に起こる通電火災と呼ばれるもので、破損したコンセントの差し口や物が倒れ傷んだケーブルなどから出火します。

この他、車社会の山梨ならではの対策として挙げられるのがガソリンです。

秦 准教授:
四方を山に囲まれた山梨は、物流が滞ることが想定される。食料も入って来なくなるが、ガソリンのタンクローリーも入って来なくなる。普段から車のガソリンが半分くらいになると、満タンにする習慣を身につけてもらいたい。

こうした備えについて、県民の防災意識はまだまだ低いと警鐘を鳴らしています。

秦 准教授:
(山梨は)40年ほど大きな災害に見舞われていない。山梨県民が大きな災害に慣れていないというのが非常に大きい。他の地域の(災害の)経験を、自分たちにとってもいかせるようにしてもらいたい。

全国各地で相次ぐ地震災害を知り、今出来る備えをすることが求められています。