きょう山形市で、全国的に多発する住宅地付近でのクマの出没に備えた対応訓練が行われました。

山形市環境課・豊後真課長「いつ人的被害が発生するかわからないという危機感を抱いている」

山形市は、2020年に住宅地にクマが出没した際の対応マニュアルを策定していています。

きょうは、全国的なクマの出没増加を受けて、山形市滑川の住宅地のそばにクマが出没しケガ人が出たとの想定で、マニュアルに沿った対応訓練が行われました。

クマの目撃情報が寄せられると警察などが現場に向かい花火などで追い払いますが、鳥獣保護法で保護されているクマにはすぐに手が出せません。

複雑な手続きが必要です。

山形市役所に集まったのは県、市、警察、消防の関係者。クマの扱いには関係機関の同意が必要なのです。

山形市環境部・板垣裕子部長「速やかに危険の除去を行うには銃器による捕獲を行うべきと考える」

しかし、ツキノワグマの捕獲の権限を持っているのは県。

市が捕獲するには市への権限の委譲が必要です。

県の担当者「捕獲許可権限が山形市に移譲されることに異存はない」

市の担当者「自治体による銃器でのツキノワグマ一頭の捕獲許可をこの場で口頭で申請する」

この会議の結果を現場に連絡です。

市の担当者「対策会議で銃器による捕獲が発出された」

住宅地での発砲ということで、警察が周囲の安全を確認し、猟友会がようやく発砲。

クマを仕留めました。

マニュアルに沿った訓練で、かつスムーズに進行しましたが、発砲まで2時間半以上がかかりました。

こうした手続きについて、市は。

山形市環境課・豊後真課長「複雑なところはあるが法なりで定められたものなので手続きに従って対応していきたい」

きょうの訓練では改善点も見つかりました。

山形市環境課・豊後真課長「(現場などと)電話でやりとりしているが今は様々な情報機器があるのでリアルタイムでわかるような仕組みがないかと感じた」

今年度、山形市で確認されているクマの出没件数は、昨年度を33件上回る76件。

また、山形市内ではないものの、県内では小国町や白鷹町などで合わせて5件の人的被害も出ています。

県と山形市は、山の近くではいつクマに遭遇してもおかしくないとして注意を呼びかけています。

結城晃一郎アナウンサー:対策会議の現場にいましたが、正直申し上げて時間がかかるなという印象でした。
しかし今の仕組み上は、きょうは2時間半以上時間がかかりましたが、その時間が長いかというと適正です。
しっかりと手続きを踏んでいる。住宅街で銃を使う以上は安全第一なのは仕方がないことですが、本番はクマは待ってくれない。
もっと時間を短縮する柔軟な仕組みがあってもいいのではないかと感じました。