旧統一教会の被害者救済に向けた特例法案が、13日の参議院・本会議で可決、成立しました。海外などに財産の流出を防ぐための保全規定は盛り込まれず、富山県内の元信者の家族は「被害者ではなく、旧統一教会を救済する内容だ」と怒りをあらわにしました。

13日成立した旧統一教会の被害者救済特例法案。自民、公明、国民民主の3党が共同提出した修正法案で、教団財産の監視強化が柱です。
具体的には、解散命令を請求された宗教法人が不動産を処分する際、国や県への通知を義務化し、通知のない処分は無効とします。3か月ごとに財産目録などの書類を提出させ、被害者が随時閲覧できるようにしました。また、被害者が民事訴訟を起こしやすくするため、弁護士費用の立て替えなど法テラスの支援を拡充します。

しかし、立憲民主と維新が目指していた教団が財産を海外へ移す恐れなどがある場合に裁判所が保全命令を出せる包括的な財産保全規定は盛り込まれませんでした。
妹が元信者の男性:「統一教会被害者、救済法ではなくて、これは統一教会、救済法です。統一教会を救済したとしか思えない。落胆とともに怒りが込み上げてきました」

こう話すのは、妹が元信者で、家族が信者になった人たち100人以上から脱会の相談を受けてきたという富山市の男性です。

財産保全規定がない法案について救済の実効性を疑問視しています。
男性:「仮に裁判に勝ったとしてもその時に本当に財産があるのか。金庫が空っぽなら全く救済にならない。統一教会が自由にお金を海外に移したりとかできないような網をかけてほしかったです」

財産保全規定を巡っては、信教の自由に抵触する恐れがあるとして自民党などが反対し、特例法案に盛り込まれませんでした。
しかし、全国統一教会被害対策弁護団の中川亮弁護士は信教の自由とは別の問題だと指摘します。

全国統一教会被害者対策弁護団 中川亮弁護士:「宗教団体として本来行うべき行為 逸脱したからこそ違法な行為である。つまり違法行為の損害賠償について保全しようとするものですから。それが宗教の弾圧とか、あるいは信教の自由とかですね、そういった見方は違うのじゃないかというのが私の見解です」

一方、旧統一教会の元広報局長鴨野守氏は、財産保全を認める野党の法案に反対する陳情書を陳情書を信者の署名とともに県選出の自民党の国会議員の事務所に提出していました。


記者:「包括的な財産保全規定っていうのが今回の法案含まれなかった。信教の自由に抵触する恐れがあるとして盛り込まれなかったということなんですが、この点についてどう受け止めていますか」
旧統一教会 元広報局長 鴨野守氏:「政治家の中にもそういう宗教を。宗教団体を締め付けることに関してそれが信教の自由を侵害するのではないかという意見があって、それが認められたという意味では、それはそれで良かったのではないかと思いますけど」

法案は施行から3年をめどに、財産保全のあり方を含め、見直しが検討されます。











