秋には2か月ほど自由に飛び回り

その年の秋、奇跡がおこりました。

澤江弘一さん
「いくつもり?いくつもり?帰って来れるんけ」

一度は絶望視されていた翼が回復し、白鳥は毎年、秋になると2か月ほど、自由に飛びまわるようになったのです。

澤江弘一さん
「こんなところきて、どうするが?えさもあげれんぜ。羽根ちゃんとそろったね」

しかし、2022年、白鳥は富山から姿を消しました。

諦めかけていましたが、1年あまりが経ったころ。見つかったのは新潟県上越市でした。

「いや~コメやりたい、コメやりたい…あ~もう、あーコメやりたい」

新潟でも住む場所を転々とし現在は、関川に定着しています。

「浮くんですけど出ようとはしません。一応分かっているんだと思うんですけど」

ところが、去年1月。白鳥が再び姿を消します。

「1月11日が154回目の上越で、この時はいて、1月13日155回目の上越で行方不明、って書いてあって白鳥探して見つからなくて帰ってきている感じです」

「この日に色んなところを探したんですけど、探しても見つからなくて、そしてキツネがおったんです。あれってちょっと。探しても探しても見つからなくて…ちょっと諦めてしまったというか」

それ以来、澤江さんが関川へ通うことはなくなりました。

ちょうど1年が経った頃。越冬のためにシベリアから渡ってきた白鳥たちに混ざり、あの白鳥がいました。

「久しぶり。はは、ココ―、コココ―。ココ―。コココ―」

「きょうは昨日連絡もらったからコイツが元気でいることがわかってきてみたけど、たらふく食べさせていますって毎日たらふく食べさせてもらっていますっていうとられっから。わしがわざわざ富山から来る必要ないわ。ふ~。だけど、そうやってこっちはこっちで餌をもらっとんがかいから凄く幸せな白鳥だなと思います」

それでも、やっぱり。気がつけば白鳥のもとへ向かっていました。この白鳥との付き合いも、今年で8年目です。

「どうぞ、どうぞ、やっと食べてくれたよかった~」

「もう終わりけ、山ほどまいたんに…なんとかなんとか」

週に一度、あの白鳥に会い、エサを食べてもらうこと。それが今の澤江さんの生きがいです。

「え~なんとか、なんとか、なんとか食べてくれた」

澤江さんも65歳を過ぎ、少しずつ体力の衰えを感じています。この先、どうなっていくのか――。白鳥と、澤江さん。それぞれの時間は、これからもゆっくりと流れていきます。